健康教室報告「不眠と漢方」

多少ご報告が遅くなりましたが、先日(2月22日)にクリニックで2回目の健康教室を開催いたしました。
今回のお題は「不眠と漢方」ということで、不眠症の4つの症状をご紹介したあとで、じゃあ、どんな対処法があるのか、というようなお話をさせていただきました。

よい睡眠を摂るには、頭の温度が下がっている必要がありますが、夜間に頭がうっかり稼働していると、それだけで熱を発生させます。この熱を逃がし切れない場合には、途中で目が覚めることも結構あるようです。
また、緊張が続いていると、眠りが浅くなったり、早朝覚醒が出たりします。寝不足だとどうしても「しっかり起きていなければ!」って緊張をするわけですが、その緊張が持続することで、今度は夜にも眠れない、という悪循環に陥ることもあったりします。
カフェインの影響も侮れません。半減期が8時間もありますので、昼過ぎに飲んだカフェインの影響は眠りの状態に影響を与えることもあります。
とはいえ、1番はやはり、頭を軽くしておいていただくことです。
頭がいっぱいのままで眠る、というのは、パソコンのアプリがいろいろ動いている状態でシャットダウンしようとしているようなもので、結局シャットダウンして、再起動、という形にならないまま、稼働を続けるようなことが起こってしまい、眠りの質が低下したりします。
これを防ぐためには、眠る前までに、頭の中の物事を書き出していただくことが有効です。
また、仙腸関節部や後頭部の緊張があると、これも眠りに影響したりします。ここはホットタオルなどで温めることで緩みますが、毎日続けていると慣れてしまいますので、連続で使用しないように気をつけてください。
漢方薬としては、睡眠の質を向上させるために補血を行うことが有効のようで、多種多様な処方があります。同時に、血を補うには、質の良い、長い睡眠が大事でもあります。この辺が悪い方にゆくと悪循環になりますが、逆にうまく介入できると、良い方に傾いて行きます。
他にも頭に気が上っているのを降ろす処方としては、甘麦大棗湯というのがあります。これは甘草と小麦、そしてナツメ、という3種類の食品からできている処方で、なぜこれがそんなに上手に効くのか、いまでも上手いこと説明ができていません。とはいえ、よく効きます。問題は適応病名のところに「小児もしくは婦人の不眠症」という記載があって、成人男性には使いづらい、というところです。
他の眠りに使う処方としては酸棗仁湯というのがあります。これも酸棗仁というのは、ナツメの一種だったりします。
…とこんなお話をいたしました。
その後、頭を緩める施術を体験していただいたりしました。
ご参加頂きました皆様、お越しくださいまして、ありがとうございました。