出力のトルク
わたしにアドラー心理学を教えてくださった師匠は、ちょうどわたしが大学院生をやっていた頃に、京都市内の某大学で客員教授をなさっていました。
その講義に「モグリ」で参加させていただいて、心理学の奥義のようなものを教えていただいたり、あるいは「怒らない」ということを実践する、という修行につながってゆくわけです…。本当にいろいろ学びましたし、同時に、一緒に学んでいた「仲間」が出来ました。
ある時、そこの大学の学生さんで、「マンガを書いている」という方が相談をされていました。
師匠は当時、マンガの原作に関わったりしていましたので、そりゃ是非とも診てもらうのが良いよねえ…と、モグリ参加していた大人たちがお節介をした結果、師匠のコメントを一緒に聞くことになりました。
作品のセンスをすごく褒めておられたのを覚えていますが、その先に言っておられたことが印象的でした。
「もしも、何らかの形でこうした創作活動でお金を稼ぐ、そんな道を考えているのなら…」と言っていたような気がします。
「作品のセンスもだけれど、数を生み出せるようにしておきなさい」
それが「トルクがある」ということだ、という話でした。
トルク torque
回転軸のまわりの,力のモーメント。棒をよじる力や原動機の回転による駆動力を示すのに用いる。ねじりモーメント。
エンジンの、回転力がある、ということ。ちょっとした抵抗があったときに、回転をやめるのではなくて、粘り強く、ゆっくりでも確実に前に進むために、回転し続けること。
そんな意味だったのだろうと思います。
ベストセラーをたくさん持っている、村上春樹氏は、毎日、決まった量だけ、小説を書くのだそうです。体調をなるべく整えて、日々の中の大きなブレをなくすことが、創作活動を長く続けるコツなのかもしれません。

『いつも「時間がない」あなたに ―欠乏の行動経済学―』(ハヤカワ文庫NF)には、逆に締切に追われることで、生産性を一時的に引き上げることが出来る、というヒトの能力について触れられています。だから締切がなくならないのでしょうけれど。
とはいえ、ある程度、継続した出力を積み重ねる、ということは、良い訓練になるのかもしれません。
このブログも昨年の8月末にはじめて、まもなく1年を数えようとしています。
だんだん書くことがなくなってきて、何を書こうか…と、真っ白な画面を睨みつつ考えることも増えました。
同じような話を書いて、あれ、この話、前も書いたよなあ?なんて思うことも増えて来ましたが、それでも、別の切り口から書くことで、一本の記事にすることが出来たりしています。
おかげさまで、クリニックに来てくださる方も増えましたので、当初の「Webコンテンツを充足させて、検索上位に入るようにする」という目標は、多少なり達成できたと言っても良いのかも知れないと思います。
今後は、少し更新のペースが下がるかもしれませんが、今後もお付き合いくださいますようにお願いいたします。