婦人科

不眠症とは「眠るまで時間がかかる」という形の「入眠障害」、「途中で目が覚める」という形の「中途覚醒」そして「起きる予定の時間よりも早く目が覚めてしまって眠れない」という「早朝覚醒」という三つの症状に加えて「（睡眠時間は十分に確保されているにもかかわらず）しっかり眠った気がしない」という「熟眠障害」のいずれか、あるいはこの組合せで症状がある状態を言います。

入眠するには、脳の温度が下がる必要があります。よく赤ちゃんが眠たい時にぐずり始めますが、手足が温かくなっていると「ああ、眠たいのねえ」なんていう判断をすることがありますが、大人も、手足から熱を放出することで入眠するわけです。頭の熱がこもると、それだけでも寝付きが悪くなったり、あるいは、夜間に目が覚める、ということもあります。

カフェインの摂取は、眠りを浅くして中途覚醒を引き起こすこともありますので、夜に眠れない感じがある場合には「午後のカフェインの摂取をやめてみる」というのも一つの方法です。カフェインの半減期は人によって異なるようですが、長い場合には8時間とも言われています。完全にカフェインの影響を抜くとするなら、だいたい2週間ほど、カフェイン無しの生活を送って頂くことをお薦めしています。

カフェインの影響にもつながりますが、頭の緊張が続いていると眠れないことはしばしばあります。これは温灸や指圧などでも解消できることがありますし、蒸しタオルを後頭部に当てて温めることで解消できる場合もあります（蒸しタオルなどの特定の刺激は、毎日続けていると慣れてしまって効かなくなることがありますので、適宜間隔をあけてください…具体的には1週間続けたら、3週間くらいはあけていただきたいところです）。

頭の緊張には、頭の中で考えごとがずっと続いている、という場合にもしばしば起こります。考えごとは、人によっても異なりますが、たとえば、仕事のこと、あるいは悩みごと、明日起きたら忘れないうちにやるべきことなどなど。

こうした考えを継続した状態で眠ると、頭がきっちり休みに入れないことがあります。気になること、忘れては困ること、などは寝る前、あるいは夕方の段階で書き出しておくと、頭にかかる負担が軽減して眠りやすくなります。

漢方的な診療をしていると、睡眠不足によって「血（身体の中に栄養を巡らせる働きと成分）」が足りなくなっておられる方もしばしば見受けられますし、漢方ではなくても、睡眠不足が続くことによって、肥満が解消しないとか、血圧が上昇するなどの悪影響があることが知られています。

漢方薬の中には、神経がたかぶって眠れなくなっている状態に効く処方もありますし、消耗しすぎている「血」を補うことで眠りやすくする処方もあります。

不眠の症状それぞれに応じて対処法や処方を調整しますのでご相談くださいませ。

また、睡眠時無呼吸症候群による睡眠障害の方もけっこういらっしゃる可能性があります。当院でも簡易な検査ができるようになりましたので、お尋ねくださいませ。