「熱」の話

今日は「熱」の話をしてみることにします。
「熱」といっても、いわゆる風邪や感染症による「発熱」ではなくて、漢方的な「熱」の話です。

更年期になってくると、どうしてのぼせや頭部の発汗が増えてくるのか?っていう話を、ホットフラッシュの話題で、書いていました。熱がどうしてもこもって、逃げ場がなくなると、症状としては強く出てくる、という話になります。

ホットフラッシュのこと

大学院生だった時の話は、以前もちょっと書いたのですけれど、その頃の思い出とあわせて、ホットフラッシュの話をします。 大学院生の時に、漢方専門医を取得しましたが、…

更年期に限った話でなくても、「熱」っていうのが問題になることがあります。
月経がある年代の女性で、熱がこもると、「過多月経」を引き起こすことがあります。

これは、もともと、子宮が熱を逃がす「ラジエーター」の働きを引き受けていると考えていただくとわかりやすいかもしれません。

「チョコレートを食べ過ぎると、鼻血を出すよ」と言われたこと、ありませんか?
わたしはそういう鼻血を経験したことはありませんでしたが、民間の健康に関する俚諺として、そのような言い伝えがありました。
「のぼせるから」っていうのがいちばん大きいのだろうと思いますが、こういう場合にいう「のぼせ」も一種の「熱」と言えるものだと思います。こもった熱を出血という形で外に出していく、というのが、頭の近くで起こると鼻血になりますし、子宮からの出血となると月経血になる、ということなのだと思います。

こういう「熱」がこもっていると、逃がさなければならない熱が多いわけですから、その分出血が増えて、過多月経になっていく、ということだと考えられます。こういう方の場合は、清熱剤を使って、「熱」がこもらなくなることで、過多月経が治療され、解消…とまではいかないにしても軽減する場合があるようです。

月経がなくなると、出血の形で熱を排出することができなくなります。更年期に、熱がこもっていると、月経血としての「熱」の逃げ場がなくなりますから、どうしても熱の症状は強く出現してくると考えられます。

ところで、じんましんや皮膚炎なんかは、皮膚における「熱」と考えることができますが、やはり、こういう症状が出る方の中には頭の緊張が強い方が見受けられます。
この皮膚に逃げそびれた熱の対処、という意味でも清熱剤が有効だったりします。

まあ、いちばんは熱をこもらせないようにすることでしょうから、しっかり頭を休ませて、しっかり睡眠を摂っていただくのが根本的な対処になるのかなあ、と思っています。