ご自愛くださいませ

「ご自愛ください」って、よくお手紙の末尾なんかに使う言葉ですが、「ご自愛」っていったいどういうことをするの?って話になります。

NHKが一度、そんな特集をしていました。たまたまつけた朝の放送だったように記憶しています。

視聴者から寄せられた「私のご自愛」まとめ - あさイチ - NHK

毎朝、いちばん欲しい情報を元気に生放送でお伝えします。すぐに役立つ生活実用情報はもちろん、身近な社会問題からエンターテインメントまで、旬の話題をとことん掘り下…

わたしは、割とよく「セルフケア」っていう言葉を使います。ご自愛、の中の一部分が、こういうセルフケアに含まれているのかなあ、なんて思ったりしています。

月経前症候群(PMS)の患者さんの話をすると、適正な診断のためにも、また診断の後に、治療効果を判定するためにも、月経周期と、それに関連した日々の自覚症状の強さについての記録をつけてもらうことが必要になります。とは言っても、症状は本当に多岐にわたりますから、これらをすべて紙で記録していただくのも煩雑ですし、書いてきていただいたものをカルテに転記する、というのもまた本当に手間がかかります。

…ということで、スマホのアプリで、こうした症状記録ができないだろうか、ということを、ちょうど大学院の頃に、すこし取り組んでいたのでした。…わたしはもっぱら、思いつきを口にして、言いっぱなしの役で、他の論文などを参照して、細かい部分を詰めてくださったのは江川美保先生でした。実際に手を動かしてプログラムを組んでくださったたのは、当時の医療情報の先生方でした。

患者さんが記録した症状を、医師がネット上で確認できるような状況を組んで頂いて、実用性の試験くらいまでは進んでいたはずです。当時のプログラムそのものではありませんが、似たような形の症状記録アプリを、その後、コニカミノルタさんが「MICHIKAKEプロジェクト」として、しばらく運用していただいていたこともありました。(2024年3月末でサービス終了されています)

このアプリを試験的に運用していたときの話を、これも江川先生に教えて頂いたことがあります。それは、

症状を記録する、という行為そのものが治療的でありうる

ということです。

自分の状況を、記録すること、そして、それを何かの折りに見返すこと。

それだけでも「セルフケア」がはじまっていますし、それだけでも症状が軽くなることが、あります。

しんどいことを、ちょっと吐き出す場所がある、そういう機会がある、ということでも、ある種の整理になるのでしょうが、記録する、っていう行為も、それに似ているのかも知れません。

そういえば、わたしの師匠のお一人も「月に一回くらいは、師匠に会いに行け」と言っておられました。
(先生お忙しいし、なかなか会えないんですけどどうしたら…?っては思いましたが…)

心の落ち着いている方と、時々、普段の生活から離れた話ができると、自分自身の心のあり方が、リセットされる、そんな感じもあるのだろうと思います。

わたしのクリニックが、そういう支えになる場所、でありたいと思っています。