しびれ、のこと
長時間正座をして、その後、足を伸ばすと、ビリビリします。それを「しびれがきれる」って言うらしいんですけれど。
「ピリピリするような感じ」のことを、しびれ、っておっしゃる方もあったり、「なんだか鈍くなっているような感じ」のことを、しびれ、とおっしゃる方があったりします。
正座しておいて、足の感覚がなくなったタイミングを「しびれ」と呼ぶのか。それとも、しばらくしてじんじんピリピリしているところを「しびれ」と呼ぶのか。
MSDマニュアルによると
しびれとは、本来は感覚が部分的にまたは完全に消失した状態を指します
って書いてありました。が、続けて
一方で、ピリピリ感やチクチクする痛み…などに対して「しびれ」という言葉が用いられることもあります…
って書いてあります。両方とも日常的には「しびれ」ということになるんですね。
知覚異常のひとつですが、基本的には知覚の鈍麻、と呼ぶのが良いのだろうと思います。
しびれの原因はいろいろあります。重大な病気(脳卒中や腫瘍などをはじめとする様々な病気がしびれを引き起こします)の始まりにも症状が出ることがありますので、しびれの症状が出た場合は、まずは脳神経内科などを受診し、大きな病気が無いかどうかを診ていただくことが大事です。
https://www.neurology-jp.org/public/disease/shibire.html 神経内科学会がしびれについての解説を書いてくださっています。
そして、いろいろ調べてみたけれど、特に大きな異常がない、という場合には、末梢神経の圧迫、というのが原因になることもあるようです。
神経は脊髄から、背骨の隙間を通って出てきますが、その後何カ所かで、筋肉が緊張すると圧迫を引き起こす場所があったりします。
末梢神経の圧迫によるしびれの病態として有名なのは「手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)」「肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)」そして「胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)」などでしょうか。いずれも、名前のついた場所付近で、筋肉がかたく緊張して、神経を圧迫することで、しびれ症状が出現する、という事が起こっているのだと考えられます。
また、名前がついているわけではありませんが、その他にも筋肉の緊張が引き起こしたしびれ、というものがあったりします。
一般的には感覚が鈍くなる形の「しびれ」が対象になるのですが、逆にピリピリ感のような、知覚過敏と呼ぶような症状が出ることもあります。こうした症状が出ておられる方の場合は、過敏になっている場所の知覚に、感覚が鈍くなっている場所がある場合があります。一部が鈍くなってしまっていて、その分別の場所が過敏になっている、ということなのかもしれません。
しびれている場所は、皮膚の状態が、わずかですが、変化します。
触れてみると、その差がわかるときがあり、しびれている範囲を特定できると、どこの神経が圧迫されているか、ということを考えやすくなったりします。
圧迫の原因が筋肉であれば、該当する部分のマッサージやストレッチが有効なことがしばしばあります。特に手根管症候群の場合では、手首のストレッチがとても有効なことがありますので、一度お試しいただけたら、と思います。
手首のストレッチはたとえばこちらにやり方が紹介してありますので、ご参照くださいませ。