クリスマスによせて
わたしはキリスト教徒ではありませんが、伯母が若い頃に修道院に入っていたらしく(家族の騒動で、還俗させられたのだそうです)加えて、幼少期に通っていた幼稚園がキリスト教を背景にしたところだった、ということもあって、キリスト教の宗教色が濃い児童文学に接していたようです。おさな心に、「くりすます」とか「いえずすさま」とか、そういう話題の絵本もたくさん読んだし、それにわくわくしていた、というような記憶もあります。
幼稚園のお遊戯会はサンタクロースとトナカイの劇でした(当時の年長さんたちは、たぶん、キリストの生誕と、三人の博士の来訪を演劇でされていたのだと思います)。わたしはトナカイ役だった、という写真が残っています。セリフは「はい!ごしゅじんさま!」だったように思います。
クリスマスプレゼントのはじまりは、メシアの誕生を察知した三人の博士が、馬小屋で生まれたイエスのもとにたどり着き、それぞれ、乳香・没薬・黄金を贈った、ということらしいです…それって、たしか1月17日ごろって言われてません…?
まあイエスの誕生日がそもそもあやしい(ミトラ教の冬至祭にならってこの時期の祝祭にした経緯があるらしい)わけですから、そもそも、細かい日付などは些末ごとです。
乳香はフランキンセンス。このアロマオイルは、気持ちを落ち着ける、とか、皮膚の若返りをもたらす、などと言われているようです。抗炎症作用もあると言われています。
没薬はミルラ。これも鎮静や抗炎症作用があるのだとか。フランキンセンスと効能はよく似ているように思われますが、こちらの方が、わりと重たい香りだったように記憶しています。ミイラ、というのはこのミルラと少し関係があるのだとか。
これらの贈り物は、宗教的な「神」とか、「救世主」という意味をもつものだったようです。
そして、黄金は「現世の王」とか、権力を表すのだとか。
ヨーロッパではキリストの降誕場面の人形を飾るのがわりとメジャーな、クリスマスの準備になっているようです。
こんな感じのものが多いようです。赤ちゃんとマリア、ヨセフ、そして動物とそれから、三人の博士などが含まれています。写真は日本玩具博物館のWebサイトからお借りしました。
日本では、クリスマスツリーと、サンタクロースが前面に出てきて、もともとの主役はどこかに引っ込んでしまった感がありますが、それでも、誰かの出生を祝して…なのか、まあ冬至からこちらの「太陽の再生」を記念して、なのか…贈り物を届ける、というのは、素敵な風習なのだと思います。
ひとに贈り物を届ける、そんな日にあたって、皆様が、お元気で、健やかに過ごされる日々が続くことを、あらためて祈念いたします。