コブラ効果
昔、インドではコブラがたくさん居た、のだそうです。

コブラ、ですねえ
民間の力を借りて、コブラを駆除したい、と考えた当時の政治家(?)あるいは行政(?)は「コブラの死骸を持ってきたら報奨金を支払う」というアナウンスをし、コブラの捕獲と駆除を推奨しました。
インド人だけに限らないのでしょうが、こういう時に、悪知恵を働かせる者がけっこう居ます。
「コブラの死骸」を増産すれば、これで一儲けできるわけです。…ということで、インドでは、コブラを養殖する、という行為が横行しました。
死骸を集めても集めても、求めている「コブラが減る」という環境は実現されません。
…そりゃそうです。持ち込まれているコブラは、きっと、ほとんどが「養殖」のコブラだったのでしょうから。とうとう、行政は、この「コブラの死骸に対する報奨金」を打ち切ることにしました。
さて。困ったのは養殖業者です。今までは良い金づるだったコブラが、あっという間に邪魔者になってしまいました。適切な処理をするとなると、手間がかかる…と、その業者は、コブラを野に放ったのだそうです。
結果として、地域のコブラがむしろ増加した…という話まであるのだとか。
どこまでが本当の話かわかりませんが、そんな逸話があって、「コブラ効果」として残っているのだそうです。
なお、Wikipediaによると、ベトナムのハノイでは、ネズミの死骸…の「一部」でも持ち込めば、報酬を支払うことにした、とたん、ハノイ市内には尻尾の切れたネズミが蔓延する、という話があったようです。ネズミが生きていれば、子どもを増やしますから、また報酬のモトが増える…という判断だったようですが。
そういえば、日本人がインドだったか、海外の会社に赴任して、あまりにも職場が汚かったので、率先してゴミ拾いをしていたら、現地の社員が「あたらしく来た日本人はゴミを拾うのが趣味だ」と解釈して、次々ゴミを拡げてくれた…という話も読んだことがあります。
率先して掃除をしていたら、部下もそれに倣う…という話ばかりではないのですよねえ。
世の中にはKPI、という言葉があるのだそうです。
KPIとは、Key Performance Indicator(キー パフォーマンス インジケーター)の略で、「重要業績評価指標」と訳される。簡単にいえばKPIとは中間目標であり、ゴールに向かうまでのプロセスの目標数値である。目標達成にむけたパフォーマンス状況を測るために設定する。
コブラの話で言うなら、目標はコブラ生息数の減少、ですが、そのKPIに、「持ち込まれるコブラの死骸の数」というのを掲げた、ということになっています。
ところが、このKPIは、中間目標です。
つまり、このKPIの数字だけを無理矢理増やす、という話になると、まさにコブラを養殖するような、そんな無理が生じることになりかねません。
KPIを重視しすぎることで、本来の目標から遠ざかることだって、起こりかねません。
数値目標というのは、だいたいは、そのような問題点を孕んでいます。
人生の中で、何が大事か、なにをどう、目標にするのか、ということを、日常の中で忘れてしまいがちですが、本来追い求めるべきものが、KPIの方なのか、それとも「最終目標」の方なのか。
時々、立ち止まって考えていただく、ということも、大事な気がしています。













