コロナウイルス感染後の不調と「熱」

COVID-19、と呼ばれた「新型コロナウイルス感染症」が世界に蔓延したのは2020年の春ころからだったと思います。
その後いくつかの症状が、コロナウイルス感染の後遺症(あるいはLong COVIDと呼ばれるような病態)として指摘されるようになりました。
匂いがしない…嗅覚障害。
疲れやすくなった…倦怠感や易疲労感。
集中力の低下…ブレインフォグ、などとも呼ばれるようになりました。
こうした不調に対して、じゃあ、西洋医学的なアプローチが有効か?というと、なかなか難しいのが実状のようで、鍼灸とか、マッサージ、あるいは、漢方みたいなものが、わりと効果があるかもしれない、なんていう話になっています。
先日、鍼灸師さんたちの勉強会に参加したところ、講師のお一人は、そういう「コロナウイルス感染後の後遺症」について、ずいぶん精力的に対応されている、という話でした。その時の話が「あれは、炎症が続いているのだと考えているので、炎症をなんとかすることを考えて治療を続けている」ということだったのでした。
通常のウイルス感染では、ウイルスがやってきて、感染が成立すると、局所に炎症が発生します。場合によっては、全身の熱として、全身的な反応をすることもありますが、ほとんどのウイルス性疾患は、そのうち、この感染が終息します。
治療をせずとも自然に良くなっていく、という病気を「セルフ-リミテッド」って言ったように記憶しています。
もちろん、HIV感染症のように、感染した当初に風邪のような症状がでたあと、ウイルスは除去されていないのに、症状は改善したように見える…というものもありますから、一概に全部が全部、セルフ-リミテッド、である、と言うのも問題があるのかもしれませんが。
そういえば、水痘…水疱瘡ですが、これも「治癒」した後、神経根の部分にウイルスが残存していて、本当に免疫機能が低下した時などには、このウイルスが再活性化して、症状が出てくることがある、とされています。こういうウイルスの再活性化で出る症状を「帯状疱疹」と呼びます。
幼少期の水疱瘡から、実に40年以上の潜伏を経て、帯状疱疹として発症する…というのですから、なかなかに気が長い。
麻疹なども感染すると、なかなか大変な病気ですが、いったん感染すると、治ったあとも、免疫機能の低下が遷延するのだとか。
意外とわたしたちはウイルスに対して、治療法を持ち合わせていないのかもしれません。
昔から「風邪の特効薬を作ることができたら、ノーベル賞の対象になるのだ」と言われていましたが、確かに、感冒はいろいろなウイルスによって引き起こされますので、個別のウイルスに対処できても、全て、ではなさそうです。インフルエンザなどに有効な薬はできましたが、それは感冒のごく一部、ということになるのかもしれません。
さて、少し脱線してしまいましたが、COVID-19の感染症と、感染後の不調やLong COVIDと呼ばれるような病態のこと。
不調をおっしゃって、受診される方の中には「コロナ感染症にかかってから…」ということをおっしゃる方もありますが、しばらく診療を続けている中で「そういえば、コロナにかかられたことあります?」とお訊きすると、「そういえば!」とおっしゃる方もちょこちょこみかけます。後遺症の評価、意外と難しいのかもしれません。
明らかに、そして、かなり症状がひどい、というような新型コロナ後遺症については、専門に外来対応をなさっている先生もいらっしゃいます。たとえばこちら。
そういうところでは、西洋薬での治療に行き詰まったり、あるいは、治療の一環として、漢方薬を処方されることもしばしばあるようです。
さまざまな処方が選択されているようですが「補中益気湯」とか「加味帰脾湯」などがわりと良く使われている、という話を、また別のところで見かけたように記憶しています。
当院にいらっしゃって、倦怠感をうったえられる方を診察すると、やはり、頭の熱がこもっておられる場合が多いようで、これをなんとかせねばならないのだろう…と思います。
頭の使い過ぎでも熱がこもりますから、こまめに頭を休めることをやっていただきながら、熱をとる、清熱剤を処方したりします。
また、みぞおちの奥に緊張や圧痛が残っておられる方もあり、ここを緩めていくことも効果があるように思われます。
コロナの感染の有無にかかわらず、つらい症状がなにかの形で解決すると良いのですが。










