ステレオタイプ
昭和の時代は「日本人」と言ったら、眼鏡をかけていて、背が小さくて、カメラを首から提げていて…というのが海外でのイメージだった、と聞いたことがあります。ついでに「出っ歯」もあったとか。

昭和といっても、戦後しばらくして、でしょうが、当時『農協月へ行く』という掌編を筒井康隆が書いていた時代です。
海外に出たことがなかった農協の団体旅行、などがいろいろと、マナーの問題を引き起こしていた…ということもあったのかもしれません。
その後、東南アジア諸国では、日本人というのは「お金持ち」のイメージが長いこと続いたように思います。
今でも、ベトナムあたりからは、日本に出稼ぎにやってきたりします。
とはいえ、現実的に、日本で仕事をするから、といって、お給料が良いわけでもない…ということを実際にはたらいている当事者は、なんとなく気づいてきている…というのが現在の状況のようです。
とはいえ、いまだにその「イメージ」はついてまわります。この辺が、いわゆる「ステレオタイプ」と呼ばれるようなものなのでしょう。
「お医者さん」は「お金持ち」というのも、どこかで使い古されたステレオタイプ、のように思います。
もちろん、はたらくために、大事にするべき物事もあります。
野口整体で有名な、野口晴哉氏は、レコードの蒐集が趣味で、出かけてはかなりの数のレコードを購入されていたそうですが、ご自身のお仕事が「整体」ですから、手は繊細に保たねばなりません。ということで、ご自身ではその、重たい荷物をお持ちにならず、他の人に持たせておられた…というような話が残っています。
お医者さんが土仕事をすることを、周りが引き留めていた…というようなエピソードも読んだことがあります。土にまみれた手は、医者には「似つかわしくない」という判断がある時代だったのでしょうか。
そういうような意味では、わりと「きれいな」手を維持する、というのは医者としては大事なことなのかもしれません。
そして、どちらかというと、「きれいな」手をしている職業の方は、なんとなく、「お金持ち」に思われるのかもしれない、と思います。
そんなこんなで、ひとのイメージっていうのはある程度続いている…ということがありそうです。
それらのステレオタイプをうまいこと使うこともあるのでしょうから、良し悪し、なのだとは思いますが、あまり強い先入観にならないように気をつけたいものです。





