ブログを書く理由

先日、少しだけ漢方の話題をブログに書きました。

漢方製剤の併用について

ちょっと難しい話をします。普段ブログではあまり書かない、漢方薬の話。 漢方内科クリニックのはずなのに…久しぶりにちょっと漢方の話をするとなると、うっかり、しちめ…

漢方内科クリニックの院長のブログ、なのに、漢方の内容が少ないですよねえ…。それは何故でしょう…?というような質問をいただいたりしています。

たしかに。おっしゃる通りです。漢方の話題、ブログではあまり触れていません。

わたしが漢方の話題を書こうと思うと、けっこうマニアックな話になりがちです。
とおりいっぺんの入門、的な部分はすでにあちこちに文章がありますし、そんな当たり前のことを、改めて書かなくても…という思いもあります。

また、「こういう症状にこれこれの処方が良かった」みたいなことを書いたりすると、指名買い、と言うのですが「わたしは!この症状ですので!この薬を!処方してください!」という勢いで受診される方が出たりします。当院に来て頂くだけならまだしもですが、ほかの先生のところに、ウチのブログを印刷して突撃!なんていう方もいらっしゃるかも知れません。
症状と処方は、専門家の判定が必要なところもありますので、もっと柔軟に考えていただきたいところですが、文字だけだとなかなか伝わりづらいこともあります。

なので、処方名は場合によって、文章の中に出したとしても、この症状に効く、などという話は極力書かないようにしています。

こうした事情があって、漢方の話題については、なかなか書きづらい、という判断をしています。

もうひとつ、別の水準の理由があります。それは、わたしがブログを書く理由、にも繋がってきている気がします。

タネをまく

先日、当院に通い始めてくださった方が「卒業」されました。 クリニックでの診療を始めたのが11月の下旬でしたから、かれこれ2ヶ月くらい…というか2ヶ月未満、っていうこ…

「タネをまく」というタイトルで、もうずいぶんと前になりましたが、コッソリ書いていました。

わたしがブログを書く理由。

もちろん、ブログを毎日更新することで、検索システムのランキング上位に入りやすくなってほしい、という下心もあります。
おかげさまで、最近は認知度もずいぶん上がってきたようです。本当にありがたいことです。

自分のウェブサイトで、自分の意見を、世界に向けて発信する、ということも、わりと楽しいことだと気づきました。
以前、街頭演説がクセになる、と知り合いの産婦人科医の先生が、選挙に出馬されたあとでおっしゃっていましたが、なるほど、自分の思っていることを憚ることなく、表現できる、ということの喜びというのは、けっこう大きいものです。

まだお目にかかったことのない、これから当院を受診しようか…?と検討されている方に、わたしの考えている事を開陳することで、事前にある程度、にしむらという医者の雰囲気をお伝えしておく、というような意図もありました。まあ、文章が長い、とか、理屈っぽい、とかいうことになるのかも知れませんが、それもそれとして、わたしの為人(ひととなり)を知っていただく材料になるでしょうから、と思っています。

しかし、それよりも何よりも、わたしは、このブログを通じて、「文字による治療」を試みているわけです。

文章の中に詰め込んだ、いろいろなアイデアを、受け止めて、考えていただくことで、読んだ方の注意が少し変わる、とか、考え方が少し明るくなる、とか。

あるいは、今すぐは「よく分からない」ことであっても、その方の中に留まって、いずれどこかで花開く、「ああ!こういうことだったのか!」という仕掛けのタネとして。

漢方の話題を出したところで、実際の漢方生薬とか、エキス製剤ほどの効果は発揮できません。
が、文章は文章で、人の心を明るくしたり、将来への希望を抱いたりするきっかけになります。

漢方内科の漢方治療は、対面で、処方して、毎日内服して貰うことで進みます。
鍼やお灸も、対面で、診察室に来て頂いた時に行うことで、身体に直接はたらきかけます。
あるいは、ご自宅で、セルフケアとして、お灸をすえてもらったりする場合もありますが…。

文章は、文章で、また別のところに効くわけです。

このブログが、そういう「読むクスリ」になれば良いな、と日々、そのように思いながら執筆しています。
これが、わたしがブログを書く理由です。