休暇の種類

まだ子どもたちが小さかった頃の思い出です。
わたしの師匠のひとりである増田明氏は、こどもミュージカルを主宰しており、年に1回、大きなホールを借りて公演するのが年中行事のひとつでした。そのミュージカルは、毎年6月にメンバーを募集し、12月に公演、1月には解散する…とはいっても、毎年参加するメンバーはわりと「久しぶり!」と言いながら集まってくる、というような流れでした。
コロナの影響などでなくなりましたが、以前は8月に合宿をして、肝試しや、レクリエーション、そして、出演者の役決めなどもその時にやっていたのでした。
この合宿が、けっこう楽しいのです。楽しく過ごしておいで…ということで、我が子をそこに送り込んだのでした。
解散場所に迎えに行ったところ、楽しんできたはずの我が子が、本当に不機嫌なのです。帰ってきてからもずいぶんと不機嫌がおさまらず、ずいぶんとオタオタしたのを覚えています。「楽しかったでしょ?」って聞くと、楽しかった、とは言いますし、参加した別の方からも楽しんでいたよ…っては聞いていたのですが…。いったい何が?ってずいぶんと悩みました。
今から考えると、よく分かる話なのですが、どれだけ楽しんできても、体力的には消耗しています。周りは仲の良い人たちばかり、と言っても、そりゃ、自宅のようにはいきませんから、やっぱり神経も張っているし、緊張もそれなりにします。そういう中で、やっぱりくたびれたのだろうと思います。
くたびれた、ということと、楽しかった、ということは、両立します。が、親の顔を見て、ホッとしたところで、くたびれた、が前面に出てきたのでしょう。くたびれた体調の不機嫌が表に出てきた、ということだったのでした。
楽しいことであっても、身体はくたびれます。
お仕事をなさっている方は、そもそも、日々の休暇があまりありません。気晴らしにどこかに行ってくる、という予定を心の支えに、平日を過ごしておられる方も結構多くいらっしゃるのかも知れない、と思います。
休日に、気分転換で遊びに出る、というのも、結構大事なことです。自分のために時間を費やすことが減ると、だんだん、気持ちが滅入りやすくなってきますから、わずかであっても、自分の時間を確保することが大事だったりします。
一方で、身体の方からしてみたら「平日は仕事でいろいろ忙しくて大変」なところに加えて「休日は遊びに出かけるので身体はくたびれる」というダブルパンチになっていることもあります。
本当は「遊びに出かける休暇」と「しっかり休養する休暇」というのと、双方にしっかりと休暇の日数が欲しいところなのですが、なかなか、そういうわけにもいきません。
遊ぶ予定をぎっちり詰めていると、体力にまかせて、身体はお休み無し、みたいなことになりかねません。
どうかくれぐれも「気分転換の休暇」と「身体を休ませる休暇」と、どちらも大事にしていただきたいものです。