便秘と漢方の話その1

2025年9月の健康教室を昨日、行いました。「便秘と漢方の話」をしたのでした。
女性の方、結構便秘でお悩みの方、多いようですが…。
便秘の話題を出す時、中国の風習について、話をすることがあります。
それは、「中国人は地下鉄の中で、こどもに排便させることがある」っていう話題です。もうずいぶんと古い話になってしまいました。今の中国でもそうなのか、はちょっと知らないのですが、かつて、そのような話題がありました。
もともとの話はこういうことです。
中国の田舎の方の文化として「大便は我慢させてはいけない」という教育方針があるのです。なので、小さいこどもたちは、またの部分が割れて開くような袴を履いていて、しゃがむとお尻が丸出しになる、という構造になっているのだそうです。そして、便意が来たら、その場で排泄する、という。
擬人法をつかって表現するなら、この便意さん、とてもシャイです。もじもじ…と、小さい声で「あの…」って言っている時に、きちんと拾い上げてあげないと、だんだん諦めて、教えてくれなくなります。というか、引っ込んでしまいます。
なので、ちょっとでもその便意が出てきたなら、その時に、すかさず!排泄!っていうことで、この便意さんを勇気づけてあげなければなりません。
たとえ、そこが、都会のど真ん中であっても。
…というのが、地下鉄での脱糞事件の事情なのではないか、とわたしは考えています。
これを「文明社会に乗り遅れた野蛮人だ」という判断をすることもできます。
しかし、はたして、野蛮人はどちらでしょうか?
「自分自身の身体的な要望を無理矢理おさえつけて、無視させるような野蛮人」として、わたしたちが批判されていても、不思議ではありません。
一般的には、食事を摂ると、その後「排便反射」というのが出てきます。一番その反射が出やすいのが朝食後と言われています。
なので、ゆったりと朝食を取って、そのあと、ゆっくり過ごしていただくと、ちょうどその頃に便意が出てくる…と言いたいところですが、日本の家庭では朝は大変です。
食事を慌ただしく摂ったら、そのままばたばた!っと出勤だったりします。
あるいは、家族の食事と用便が重なることもあるでしょう。一家の主婦をやっておられるようなお母さんのポジションにいると、どうしても家族の用便を優先させてしまう、かもしれません。
いずれにしても、ばたついた時に、シャイな便意さんが言い出せない…ということになると、どうしても便秘がちになります。
いったん、勇気がくじかれてしまった便意さんの勇気づけをするには、本当に、ちょっとした便意を逃がさず、極力すぐにそれに応えること、なのですが、これもまた難しかったりします。
やっぱり現代社会と文明は、ヒトにあまり、優しくないのかもしれません。
さて。ここからいよいよ漢方の話…にする予定だったのですが、長くなりそうなので、続きは明日のお楽しみ、といたします。