寝ても覚めても仕事…
診療をしていると、時々、夜に眠っている間も、夢の中で仕事をなさっている、というような程にお疲れの方がいらっしゃいます。
眠りが浅いとか、いろいろあるのでしょうが、本当にお疲れさまです、と申し上げることがあります。
さて。日本の歴史上の人物で、一人、夜になると別の世界で仕事をしていた、という話が残っている方があります。
小野篁(おののたかむら)。

篁は昼間は朝廷で官吏を、夜間は冥府において閻魔大王のもとで裁判の補佐をしていたという伝説が『江談抄』、『今昔物語集』、『元亨釈書』といった平安時代末期から鎌倉時代にかけての説話集に紹介され、これらを典拠にして後世の『本朝列仙伝』(田中玄順・編、1867年・刊)など多くの書籍で冥官小野篁が紹介されている。
いろいろと逸話にはこと欠かない方だったようです。いちばん有名な話が、この、「閻魔大王の補佐をしておられた」という逸話です。昼は昼で、ちゃんと(?)お仕事をなさっては、夜な夜な閻魔大王のもとに通ってお仕事をされていた…のだ、という話になっています。
いったい、どんな事情で、そんな噂が立つことになったのでしょうねえ…。
この方、「参議篁」として百人一首にも歌が収載されていました。
わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと人には告げよ海人の釣舟(『百人一首』11番)
これも、釣りに行くと言っておいてくれ…という文章ですが、隠岐の島に流罪になった時の歌だったようです。
謀反…?ではないのでしょうけれど、遣唐使に反対しただか、ということを言挙げされて、の流罪だったと書いてありました。その後、有能である、ということで、復帰されたのだとか。有能の評価が「文章がうまい」みたいな話になっていたような気がします。それで良いのか…?
いろいろと本当に八面六臂の活躍でした。あまりに引っ張りだこになって、夜寝るべき時にも冥府でのお仕事…というのは、ちょっと大変だったのではないか、と思います。
京都は六道参り、というのが8月に開催されますが、その六道珍皇寺にある井戸が、小野篁が冥府との行き来に使ったものである、ということになっているようです。

Wikipedia 六道珍皇寺より写真をお借りしました。この左側の井戸がその通勤経路だったそうです。
くれぐれも、彼を参考に…ではなくて、反面教師にしていただいて、しっかりお休みいただきたいものです。











