師匠のこと、そしてボディートークのこと

以前、ミュージカルの本番前にホールでお稽古していた時の写真。かかしと、ブリキの男と、ライオンということで、『オズの魔法使い』から。

昨日はいちばん最初の師匠のことを書いたのですけれど、やっぱり、ほかの師匠のことも書かないと、って思いましたので、今日はふたりめの師匠のこと。

ボディートーク、という、こころとからだに関わるプログラムを作った方でした。

ボディートーク協会はこちら。https://www.body-talk.co.jp/ 

商標登録はしてある、って話なんですけれど、似たような名称で、内容の違うことをやっている団体があるみたいで、なんだか、インターネットで検索するとそちらが先に出てきたりします。

もともとは音楽家?バイオリニスト?だったそうです、というのは、お父様がバイオリニストだったそうで、従軍してバイオリンを弾いておられた?とか、戦後、竹でできたバイオリンを披露された、とかっていう話が残っているようです。

そのお父様に英才教育で、バイオリンを「たたき込まれた」そうで、間違えるとじっさいにスリッパで叩かれたのだとか。

実は、増田明氏はわたしの父と同年齢で、大学の時に法学部だったのですが、そこで、同級生だったのだそうです。それがご縁で、このボディートークというプログラムができた、という話を知りました。

…ということで、この師匠に出会ったのも、医学部を志すより前のことでした。なので、こちらの経歴の方が長い、ってことになります。

法学部を卒業されたあとで、増田氏は、「もう一つ」大学を卒業されて、高校の音楽の先生に就任されていたのだそうです。音楽の授業や放課後のクラブ活動を通して、生徒たちの心の悩みや身体の緊張にアプローチすることを積み重ねた結果、学校の先生を辞めて、ボディートークというまるっきり新しいもので独立された、ということでした。

時代はバブルから、それがはじけた前後の話ですから、モーレツに働く会社員が多かったところで、やっぱり体調を崩すひともけっこういらっしゃったみたいで、心の問題は身体から、ということで、日経新聞か何かの取材が大当たりして、本当に「電話を置いたかとおもったら即座に鳴る」というような忙しい時期があったそうです。

健康体操…という面もけっこう大きいのですが、もともとが音楽家でいらした方ですから、表現を洗練させていく、ということも熱心に指導されていました。

そして、素朴で自然な表現を基礎とした子どもミュージカルを主宰しておられます。にしむらも昔、舞台に上がったことがありますし、今でも本番の舞台をお手伝いに行ってます。

彼のボディートークのプログラムで、人に触れるお作法のようなものを身につけましたし、身体に表れる心の問題をどのように読み解いていくか、ということを修得しました。

今でも、人の背中を見ると、どんなものを背負っているのか、という雰囲気はわりと読み取れるような事が多いのですが、これは、ボディートークのプログラムのおかげだ、と思っています。

ボディートークの指導者に認定されるには試験があったのですが、その試験問題のひとつに「なぜお正月になると風邪をひく人が多いのか?」というのがありました。

こういう問題提起をもらって、その解説をしていただきながら、ひとのあり方とか、こころとからだの繋がりなんていうものを、深く学ぶことができたのは、医療の現場に出るにあたって、本当に役に立ってきました。

なので、医療関係に進まれる方にはお薦め、と言いたいところなんですが、なかなか良い指導者がいらっしゃらないんですよねえ…。まあ、ご縁があれば、直接相談してみていただくのも良いかと思います。

増田氏は、あまりにも多忙な時期に体調を崩されたりしたこともあって、今はあまり手広くはされていませんが、それでも彼を頼っている人がまだまだいらっしゃるところです。