悪循環を断ち切るきっかけ

急に、病気の治療の話をしますが、たとえば、アトピー性皮膚炎の治療はとっても難しいものがあります。
皮膚が痒くなる→
皮膚を掻いてしまう→
皮膚のバリアがやぶれる→
刺激に反応しやすくなる→
また皮膚が痒くなる→……
…というような悪循環にいちどはまってしまうと、なかなか抜け出せません。悪循環を断ち切る、いちばん効果的な場所は「痒くなる」というところですから、きっちり痒みを無くすることができて、その間に皮膚がキレイになってくれたら、きっと、良くなる…と言いたいところですが、なかなかそれだけでは話が進みません。
もちろん、皮膚のバリアがやぶれたあたりを皮膚保護をする、というのも、とても大事です。そうやって、少しでも悪循環のループから離れることが、治療の目標になります。
皮膚の湿疹にかぎらず、こういう「悪循環」の状態に陥ってしまっている状況というのは、あちこちにありそうです。卵が先なのか、鶏が先なのか、いまひとつわからない所ではありますが…。
余裕がなくなるから体調が悪くなる、という方もあるでしょうし、体調が悪くなったから、余裕が失われた、という方もいらっしゃるでしょう。
そういうひとつ、ひとつは、決して大きくなくても、積み重なることで、大きな重荷になるのかもしれません。
そういえば、寝不足で頑張っておられる方、というのも似たような悪循環になっておられる場合があるように見受けられます。
寝不足になる→
昼間に眠い…けれど、眠ってはいけない、ということで頑張る→
頑張って、気持ちを張り詰めた状態が続いてしまう→
夜になっても眠れない→
また寝不足になる→…
…というような悪循環を形成した結果、短時間の睡眠を続けておられる、ということもありそうですし、そういう方が「わたしは短時間睡眠で大丈夫です」とおっしゃることもあります。脈をみると、慢性的な緊張と、お疲れが読み解けますので、あまり無理をしてほしくはないのですが…。
漢方的には寝不足があると「血虚」になりやすいのですが、逆に「血虚」があると、睡眠の質が悪くなり、寝不足になります。
こういう悪循環をどうやって、断ち切るのか?ってところなのですが、やはり、断ち切るポイントが何カ所かありそうですから、そこから介入してゆきたいところです。
まずは神経の高ぶりをおちつけさせるようにすること、なんていうのも大事です。「血虚」がある方の場合は、漢方薬である程度補うこともよい結果につながります。
一カ所、どこかに根っこがあって、そこを問題解決すれば、全てが芋づる式に良くなる、なんていうほど、ヒトの身体は単純ではありませんが、悪循環になっている連関の中にも、頑張ったら変化させられそうなところ、というのがあります。
それを丁寧に見つけて、介入してゆくことで、元気になっていらっしゃるし、元気になれば、今度は好循環がまわっていきます。
そんな、お困りごと悪循環の解消のきっかけに、クリニックを使って頂けたら、と思っております。