整形内科のこと

整形内科…って知ってますか?

「え?整形外科、じゃなくて?」っておっしゃる方。多いと思います。

https://www.nanzando.com/products/detail/20501THE 整形内科』南山堂、2016年の書影。

クリニックを作ったときに、表示(標榜:ひょうぼう、と呼びます)できる「診療科目」には、いろいろな制限があります。

ある程度はその組み合わせがあり「女性+内科」というような形の診療科目を掲げることができるのですが、たとえば「心療内科」という科目名を「心療+外科」とすることはできません。

同じように、「整形外科」という科目名を「整形+内科」という形に変更することも、実態として、それはありえない、という判断をされてしまうようです。まあ、整形は「せいけいげか」ですから、いきなりそれを「内科」とか言われても混乱しますよねえ。

いわゆる整形外科領域の、しかし手術をしない外来診療について、研修や発信をされている方がいらっしゃって、筋膜リリースとか、トリガーポイント注射などの手法を中心とした研究会を発足されているそうです。

日本整形内科学研究会

こちらはおもに「ファシア」に関連する介入や治療を推進されているそうです

ファシアって一体なんじゃい?ってなりますが、私達が解剖を学んだときには「筋膜」という日本語訳があてられていました。
筋肉と筋肉の間の、結合組織…と呼ばれる部分なのですが、一部では立派な「膜」になっています。

産婦人科の手術では、帝王切開など、お腹を切って開腹するわけですが、その時に、腹部の筋膜というのは、とても頑丈で、これをどう開いていくか、というのが、ひとつのポイントになりますし、手術を終えるときにも、ここをしっかり縫い合わせるように閉じてゆきます。

ただし、全ての「ファシア」がそのように膜になっているわけでもなさそうで、もう少し曖昧な、筋肉と筋肉の間の場所、というような意味合いが出てきているようです。

ひとかたまりの筋肉、と呼ばれているものも、もっと細かく観察すると、細い筋肉細胞の線維が集まってできているわけで、妄想的な話をするならば、これらの筋線維の一本いっぽんの間にも、ごくごく薄い「ファシア」の層があるのかもしれません。

筋肉がコリでかたくなる、というのは、このファシアの部分が何らかの形で、張り付いて、そこに接する筋肉がお互いに動きづらくなった状態なのだ、とおっしゃる方がありました。

その方によると、筋肉そのものをほぐす、のではなくて、ファシア部分で自由に動くようにしてゆくのが、施術の目的なのだそうです。

おおよそ、一般的な整形外科は、骨と関節の話を中心に診療をされてきていますので、なかなか筋肉とか、ファシアとか、というところまで手がまわっておられないのではないか、と、わたしは考えています(世の中にマッサージ屋さんとか、いわゆる整体屋さんとか、そういう業種が多いのも、いわゆる整形外科では受け皿として足りないから、ではないか、というのがわたしの見立てです)。

ファシア、を本当に把握しているかどうか、は別として、筋肉の緊張?というか、可動性の低下や、痛みの原因は、エコーで観察する、ということがなくても、触診の精度があがれば、ある程度診ることができます。

もちろん、関節や骨の話は、レントゲンなどでの評価が必要なものもありますから、いったん、そういうところで診ていただくことが大事ですが、その後の「骨や関節には異常はないですね」とか「これは加齢性の変化ですね」などと言われたような腰痛・肩こり、あるいは腕が上がらない(いわゆる五十肩)などという症状は、たいていは、この「整形内科」的な部分になるの、かもしれません。

にしむら漢方内科クリニックは、漢方内科、で看板を揚げていますが、わたし(にしむら)が人の身体に触れはじめたきっかけのひとつに「(いわゆる)五十肩」がありましたので、昔取った杵柄とばかり「整形内科」的な診療もやっております。

漢方薬も有効なものがありますので、またご相談くださいませ。