決断を下す

合理的な推論で結論に至る…というのであれば、それはAIにもできる。人間の「決断」というのは、合理的な推論だけでは判断できないような、リスクを呑み込む覚悟が必要なのだ…

というような投稿(うろ覚えですのでおおよその文章になります…例によって…)を、先日SNSで見かけました。

たしかに、結果が見えているところを進むのは「決断」ではないのかもしれません。

ゲームの実況などで「RTA」という言葉があります。「リアルタイムアタック」という用語です。ゲームの中で、「最短距離」を選んで、極力短い時間でゲームのクリアを目指す、というある種の競技みたいなものになっているようですが、この「最短距離」を発見するためには、無数の試行錯誤が必要になっています。

ゲームであれば、毎回同じ場所に同じような形で「イベント」が発生するわけですけれど、実際の人生においては、そのような予定されたプログラムはありませんから、まさに「一寸先は闇」なわけです。

ゲームであったとしても、理想の動線と、実際にゲームで辿ることのできる動作はズレることがあるわけですから、それをどれだけ、理想に近づけるか、などの点で、ヒリヒリした感覚があるのでしょうけれど、実人生はそんなにギリギリを攻め続けるわけにもいきません。

とはいえ、人生の中で、時々は大きな跳躍が必要になってくる、なんていうこともあります。つまり、先が見えないところで、「えいやっ」と、人生を賭けて跳ぶ、というようなことを迫られる場面というのがあるわけです。

それが「決断する」っていうことなのだろうと思います。

昨年(もう一昨年になるでしょうか…)わたしが「開業する」と決めたのも、まあ、大きな決断でした。ずいぶんと後押ししてもらいましたので、まるごと一人でエイヤッと跳んだわけではありませんが…。
開業当初は本当に、誰も来ない日が続きました。「今日も、誰も来ませんでしたねえ」なんて、そんなことばかりやっていたわけです。

有り難いことに、今ではずいぶんと予約が詰まってきて、むしろ予約が取りづらいことが問題になりつつありますから、本当にずいぶんと風景が変わったものだなあ…としみじみ感じています。

こういう、決断をする、という時に大事なことがいくつかあります。

まず第一に「心身ともに良い状態であること」がとても大事です。心が追い詰められていたり、あるいは疲れ切っていたりすると、それだけで、変な選択肢に飛びついてしまう、なんていうことをやらかしがちです。

そして、「運気を上げておく」ということも大事です。どうやって運気を上げるのだ?という話にもなりますが、まあ、心身の不調が解消すると、自然と運気も上がってくることがあります。

自分の足もとが安定している時の方が、遠くを見通すこと、遠い先を目指すことがやりやすくなります。逆に自分の状態が不安定だと、目先のことばかりが気になります。

大きな決断は、どこか遠くを見通して、決める方が良いのだろうと思いますから、体調を整えて、心を整えて、そして、しっかりハラを決めて、という準備をしていただきたい所です。

そして「ゆだねる」ということも、とても大事なことなのだろうと思います。
ひとは、一人だけで出来ることには限りがあります。
全てを自分の手でなんとか…と抱え込むのではなくて、ゆだねて、お任せすることで、回り始める縁もあるのだろうと思います。

逆に、今の状態がとても不安定で、自分の体調も思わしくなくて、疲れていて…となると、本当に考えることも、見通す先も拡がりを失います。
そういう時に大きな決断を避けることが良いのですが、かといって、大変な状況から抜け出す決断も出来ずに、消耗していく、ということもお薦めしかねます。

まずは、自分自身の体力と気力を回復できる場所への避難が必要なのかもしれません。

決断を下し切れない時には、胆が弱っている、と漢方では考えます。
いちど身体を整えて、良い体調を取り戻していただくと、胆の気も充実し、決断がしやすくなる、と言えますので、お困りごとがありましたら、一度ご相談くださいませ。