湿気に注意

クリニックで診療をするようになってから、はじめての梅雨に入っています。まあ、開業からまだ半年ですので、ここから先、しばらくは、何もかもが「はじめて」なんですけれど。

梅雨のせいなのか、台風が発生したせいなのか、湿気の影響を受けておられる方、けっこう多いなあ、という印象があります。

いままで病院で診療していた時には、あまり気にならなかったので、今年の湿気が強いのだろうか?といっしゅん考えました。たぶん、わたしの診療の腕が上がったのだろうと思います。本当かどうかは別にして、そういうことにしておいてください。

脈が湿気ておられたり(雑な表現してますが…)、あるいは、背中が湿気でむくんでおられたり、はたまた、お腹の腸の周辺が湿気で重たくなっておられたり、ということを、いらっしゃった方の全員ではないのですが、いろいろな程度でみかけることがあります。

寒い季節のむくみは、附子(ぶし)といって、温めて利尿するような働きのある生薬を用いるのですが、この季節に使うと、場合によっては温かくなりすぎて「のぼせ」が出現することもあります。

なので、別の「利水剤」をいろいろと選んで使ったりするわけです。有名なところは以前もご紹介した「五苓散」という処方ですが、他にもいろいろあります。女性の不調によく使う「当帰芍薬散」というのも、けっこう水の動きを改善する作用があったりします。まあ、そんな処方を組み合わせることが増えています。

漢方薬の話の他に、養生というか、ご自身で気をつけていただくこともいくつかあります。ひとつは、特に塩分を少し控えてください、ということです。もうひとつ、生活環境での注意事項としては、お家の中をしっかり乾燥させていただきたい、ということです。

乾燥機を…と言い間違えました。乾燥機じゃなくて、除湿機ですね。除湿機とか、あるいはエアコンの「ドライ」を使っていただいて、しっかり湿気を飛ばしてください。

身体としては、胃腸の調子が整うと、水の整理がしやすくなる、などがありますが、実は胃腸だけじゃなくて、肺も、心臓も、腎臓も、水の整理をする働きがそれぞれにあります。漢方薬を使ってそれらの湿気への対処を支えるわけですが、やはり、環境の影響も大きいわけです。身体の負担を軽減する、という意味では、除湿機などの文明の利器を上手に使っていただきたいものです。

また、塩分だけではなくて、味の濃いものには注意をお願いいたします。どうしてものどが渇くような食事だと、その水分が身体に留まって、むくみを作りやすくなります。もちろん、熱中症対策としては、しっかりミネラルを摂取していただくことも大事ではありますから、ほどほどに、ということになりますが。