漢方と美容

先生、キレイになる漢方薬ってありますか?みたいなことを、時々訊かれます。

うーん…キレイになる、とか美容に良い、みたいな話だけで、保険診療の形での漢方薬処方というのは、いろいろと問題があります。そもそも病名がつきませんし。病気じゃない状態に、保険診療を使って薬を処方をするのは良くない、みたいな話になります。

先日、とある、糖尿病の方に使う薬が、「やせられる薬」として取り上げられたことがありました。

他にも、思いのほかあちこちの内臓に効果がある、という話もあり、皆が一斉に飛びついた結果、本来、それが必要だった糖尿病の患者さんが、必要な薬が入手しづらい、という困ったことになった、という報道を見たところでした。

なので、キレイになる、とか、痩せる、というような形を目的として、こうした薬を使用されることは本当に慎重にしていただきたい…という話になります。肥満症は治療の対象になることがありますので、そのような方の場合はきっちり保険の適用になりますが、純粋な美容目的と言われてしまうと、保険の適用にはなりません。

とはいえ、身体がくたびれている状況よりは、元気になったほうが、キレイになります。あるいは睡眠時間が短かったり、睡眠の質が悪かったりするよりは、しっかり眠れて、スッキリ目覚める体調の方が、キレイになります。

そして、こうした、「身体がくたびれている」とか、「眠りの質が悪い」とか、っていうのは、「治療の対象」になることがあります。

そうして、身体の不調…という荷物をすこし、減らしていただくと、身体も軽くなります。軽くなったから、といって、それで空に浮かんでいくことはありませんが、一見「年齢のせい」と思っているような不調も、不調の種類や内容によっては、改善の余地があるものもたくさんあります。

もう長年これで…と思っておられたようなことでも、思いがけず解決することだってありますし、診せていただくと「そっちの悩みはわりと早くに解消できます」ということだってあったりします。

そして、不調が改善することで、その「余波」として、キレイになることって、十分にあると思います。

年齢のせいだ、とか、こういうものだ、と諦める前に、一度、ご相談いただけたら、と思うわけです。