漢方薬っていつまで飲むの？

いろいろな方の診療をしていますが、今はこんな状態ですから、この漢方を使いましょう…という形で漢方薬の処方を決めることがほとんどです。そして、調子が良くなってきて、この処方は必要なくなったら、次の症状にあわせて、別の処方を…ということになる場合もあります。

たとえば風邪をひいた時の漢方薬、とかなら、風邪が落ち着いたらもう内服の必要は無いのですが、「風邪をひかない体質にしてゆく」ための漢方薬というような話になると、結構長いことお付き合いしていただくことになったりします。

漢方薬の効かせる場所によっては、すぐに効果が得られるものと、じわっと効果が出てくるものがありますので、特に後者の場合、いつまで飲み続けるのか？というあたりが悩ましいかもしれません。

『神農本草経』には生薬の分類がしてあって「上品」はずーっと飲み続けても悪くないもの、という形で書いてあります（道教的な思想が混ざっている時代の書籍ですので、その「上品」の中に水銀などが入っていたりもしますので、完全に鵜呑みにすることもできないのですが…）。
食品に近いような漢方薬であれば、飲み続けていただいてもかまわない、という考え方もあります。

もちろん、薬によっては、劇的に効果がある一方で、使いすぎに注意が必要な処方、というのもあります。このあたりは、本当は漢方を処方されている先生にお尋ねいただきたいところです。

ずーっと続けてもかまわない、というような処方を使っておられる方の話に戻りますが、体調が元気になってくると、「薬を飲まなくては」という意識がどんどん薄れていくのも事実だったりします。なので、調子が良くなってきて、内服を忘れがちになる、というところが「やめ時」とも言えるわけです。

そんないい加減な話で良いのか？！って思われるかもしれません。が、もともと漢方薬は飲み忘れにもそれほど厳しい薬ではありません（世の中の一部の薬は、飲み忘れをどうやって防ぐか、という話が真剣になされていますので、そういう薬とはちょっと雰囲気が違うと思ってください）。しんどい時には使う、調子良くて忘れるなら、忘れても困らない…。そんな緩さがある、というのも漢方の良さ、かもしれません。

もちろん、調子が悪い方がそれでも飲み忘れた、ということもしばしばあります。

さすがに、漢方薬を自宅に置いておくだけで効果がでる！なんていうことはあまりありません（お守りで持っていると安心する、という方は、それはそれで上手な使い方だと思います）ので、できたら、それなりに口に入れて頂きたいと思います。内服のタイミングは、添付文書的には「食前または食間」となっていますが、主治医や担当の薬剤師さんとご相談ください。