熱中症の話(健康教室より)

先日、6月の健康教室で「熱中症と暑気あたり」と題してお話いたしました。
お話は例の通りに脱線につぐ脱線を繰り返しましたが、熱中症について、少しお話したことをまとめて、こちらに記しておきます。
昔は「日射病」とか「熱射病」とか言っていたんですよねえ。熱中症。ヒトは身体で発生した熱を、外に排出することで体調を維持していますが、暑い季節はそれが難しくなります。
本当は汗をかくことで、気化熱によって体温を下げる、というのがそのひとつの方法なのですが、気化熱で冷えるのは、湿度が低い場所に居るときです。こういう汗は、じつは、ダラダラとは流れてこずに、気化して水蒸気になっていますので、肌は乾燥しているような状態です。
乾燥した砂漠などでは、こういう形で汗が消失しますから、水分の補給が必要です。逆に言うと、水分をしっかり補給できれば、暑さをなんとかしのぐことができる、なんてことだってあります。
日本の夏は、湿気が強いので、どうしても気化熱を使うことが難しくなります。
ゆで卵になってしまったら、どれだけそれを冷やしても、もとには戻りません。タンパク質の変性が、そこまで強い形で起こるとは考えづらいですが、なるべく熱中症に注意する意味では、しっかり涼しい環境で過ごしていただきたいものです。
とはいえ、暑さに慣れることで、しっかり汗をかくようにするのも大事です。このあたり、変動が大きいときこそ、しっかりと対処が必要になります。
以前、9月に京都から奈良まで、川沿いのサイクリングロードを走ったことがあるのですが、水分を頻繁に補給したり、アイスクリームを食べたりしながら、でしたが、そもそも日陰のない場所をずっと走っていたこともあり、奈良の宿に着いたときには頭痛がありました。一晩クーラーのかかった部屋で過ごして、事なきを得ましたが、熱中症の予防に、と水分や塩分だけではやはり不十分で、涼しいところに待避することが大事です。
その上で、水分がうまく巡らない時には、点滴をしたりすることもありますが、加えて漢方薬の五苓散あたりが有効なこともあります。
いろいろなところで熱中症についての注意喚起記事がありますので、また参考にしていただけたら、と思います。