病気との距離感

風邪の話を、また今月の健康教室で予定しています。風邪って「ひく」病気なんですよねえ。
風邪を引く、といいます。なぜ引く、なんでしょうねえ…?

こういうときは辞書を引いてみるのが一番。
ということで、風邪を引く…と調べてみましたが。

風邪を引・く
① 風邪にかかる。感冒にかかる。
② 空気・湿気にふれて変質する。「チャガカゼヒク」〈日葡辞書〉

2番の「茶がかぜをひく」っていうのは、1番の意味をひっぱってきているんでしょうねえ…ってことは「ひく」方でしょうか。

引く
 自分の体の中に入れる。「かぜを―・く」

ありました。「身体の中にいれる」という意味のようです。

引く、といえば、「ねずみにひかれる」という表現がありましたっけ。

鼠に引かれそう
家の中に一人きりでいてさびしいさまをいう。

ねずみにさえも、引っ張られていきそうなくらい、寂しい、っていうことでしょうかしら。

風邪は「ひく」
麻疹なんかは「かかる」っていいます。

かか・る 【罹る】
(動ラ五[四])〔「掛かる」と同源〕
ある病気になる。「重い病気に―・る」「マラリアに―・る」

罹る、っていうのは「掛かる」と同源と書いてありました。ふむ。掛かるをみてみましょうか。

掛かる
 仕組んだものに捕らえられる。「大きな魚が網に―・る」「わなに―・る」「計略に―・る」
 魔法・麻酔など特別な作用が及び,普通でない状態になる。「麻酔が―・っているので痛みを感じない」「暗示に―・りやすい人」

なるほど。捕らえられるとか、作用が及ぶとか、そういう意味だったのでしょうかしら。

そして。

別の種類の病気は「なる」って言ったりします。

癌に「なる」
糖尿病に「なる」
高脂血症に「なる」
高血圧に「なる」

あれ?これは生活習慣病関連が、そういう表現なんでしょうかしら、ねえ?
糖尿病に「かかる」とは言わないですよねえ。

外傷なんかは「する」って言いますよねえ。

骨折「する」
怪我「する」
あるいは近畿地方では「傷をする」というような表現もあります。

漢方では、病気の原因を「外因」と「内因」と、それから「不内外因」と分類しています。たとえばこちら

外因は、そとから襲ってくる「邪」をさします。六つある、(六淫)と言われています。

内因は、基本的には感情の過剰をさします七つある、ということになっています(七情)。

こちらからお借りしました。

不内外因は、食べ過ぎとか、運動不足、あるいは働き過ぎ、などの生活習慣などを含んだ要素をかぞえます。

外因によって引き起こされる病気は「かかる」とか「ひく」という言葉を使うほうが、しっくりくるのかもしれません。
内因や、不内外因によって引き起こされた病態には「なる」がしっくりくる、とも言えるのかもしれません。

こういう言葉ひとつとってみても、病気との距離感がさまざまにあるのだなあ、と興味深く感じるのでした。