白雲自去来

先日、クリニックの待合に、水墨画を掛けました。

富士山を描いた水墨の絵の右肩に、「白雲自去来」と書いてあります。

白?え?読めないんですけれど…って思いましたが、まあ、白なんだそうです。

ちなみに、日本語はもともと「縦書き」の文化でした。古い書の場合、こういう形で並んでいる字は、右から読む(つまり1行1文字の縦書き)ものが多いと聞いていましたので、これもそうなのかなあ?と思ったのですが、この書は左から読むようです。つまり、横書きです。

どうして横書き?…とは思うのですが、まあ、昭和の時代の書らしいですから、そういうこともある、のでしょう。

「白雲自ずから去来す」と読みくだすのだそうです。

そして、この言葉は、前段に「青山元不動」とついている、禅の言葉なのだそうです。

揮毫されたのは、臨済宗の老師でいらしたと聞いています。当時は大変有名な方でいらっしゃったようですが、最近はご存知の方も少なくなってしまわれたみたいです。

青々とした山は元から動かず、白い雲が行き来するという意味となり、 雲に隠れて山が見えなくても山は元の場所から離れているわけでもなく、ただ雲が行き来しているのだということを表しています。

https://keizouji.p-kit.com/page239751.html

雲はふわふわと、出たり入ったりする。山は雲に隠れて見えなくなることもあるけれど、そこに居て変わらない、というような教えなのだそうです。

ひとの心も雲のように去来します。その雲にとらわれることなく過ごしたいものです。