目の緊張からくる頭痛のこと
頭痛の話も、産婦人科医がする話題ではないように思うのですけれど、臨床をやっていると、慢性的な頭痛をおっしゃる方も結構いらっしゃいます。話を聞いて、診ていると、頭の緊張や目の緊張に伴う頭痛、というのが、わりとあるんだなあ、と思っています。
典型的な目の緊張…ないし目の疲労からくる頭痛は、こめかみのところと、それから、後頭部の首の付け根あたりのところに痛みが出てくることが多いようです。
こめかみの部分には「太陽」、後頭部の首の付け根あたりの部分は「風池」と呼ばれるツボがありますが、これらは眼精疲労に効果があると言われています。
もともと、人間の目は「遠くを見る」ことの方が得意、だったのだそうです。
遠くが見える目で、近くを見ると、目はかなり緊張を強いられることになりますので、目の疲労が強くなってきます。
目の緊張のこと、でもご紹介した視覚情報センターの田村さんによると、「近視とは、目が緊張しなくても近くを見ることができるようになった適応変化」ではないか、ということでした。
ところで、普通の視力検査は5m先の輪っか(ランドルト環)を見ることになっています。近視の方だと、どうしても、そこがよく見えるようなメガネをお作りになる、ということが多いのではないでしょうか。
メガネやコンタクトで、矯正視力をたとえば1.2とか1.0とかにあわせておられる方も多いと思います。
それは、遠くをご覧になるには、とても良いメガネやコンタクトなのだろうと思われますが、その矯正をしたままで、近くをご覧になっていたりはしませんか?
年齢が上がると、ピント調整をする部分の反応が悪くなるので、だんだん、近くが見えづらくなります。これをいわゆる「老眼」と呼ぶわけですが、老眼でなくても、遠くを見ることが得意な目で近くを見続けていると、目の疲れが溜まりやすいわけです。
そして、その緊張が引き起こす筋肉のコリを、こめかみの部分とか、後頭部の部分に引き起こすのだろうと思います。
こういう方の頭痛は、だいたいは、目を酷使された午後から夕方にかけて多く出てくることになります。いわゆる筋緊張性の頭痛ですから、コリのあるこめかみや後頭部の緊張を揉んでほぐすことで症状は軽減します。
加えて、目の体操をお薦めしています。近くを見ることに集中していると、どうしても目を動かす方向が偏っていることになりますので、その部分の疲労感が強く出てきます。
目をしっかり動かすことで、この偏った疲労感を軽減することができるようになります。
メガネやコンタクトについては、それぞれの生活スタイルにあわせて、使い分けていただくことをご提案いたします。近くを見る用のメガネを準備していただくか、ご使用のレンズの度を緩めたものをお使いいただくことで、目の疲れが軽減することが想定されます。