祈りの力とプラセボ効果

わたしは「プラセボ効果が発揮されることで治るのであれば、それはそれで良いのではないか」と考える立場の者です。
ただし、プラセボ効果というのは、辛い経験をすると余計に発現しやすくなるらしいので、過剰な刺激をもって、プラセボ効果を引き出す、というのは、まあなんというか、マッチポンプな気がしています。
手術の前後、っていうのは痛いところを医者が作り出していて、そこから回復してくるわけです。「これってマッチポンプなんじゃないだろうか…?」と時々考え込んだものでした。いや、腫瘍の摘出っていう、重要なポイントがあるわけですから、単なるプラセボだとは言いませんけれど…。
一時期、「超能力サラリーマン、タカツカヒカル」という方が話題になりました。難病などに対して、遠隔ヒーリング?を行い、治療する、というような話だったと記憶しています。ブームが過ぎた頃にそのあたりの話を書いておられる文章がありました。
遠隔ヒーリング?を頼まれると、「それでは真夜中の12時に遠隔ヒーリングを行います」と説明するのだそうです。そして、12時ではなくて、午前2時ころにヒーリングをされるのだと。
そうすると、感謝のお手紙をくださる方があるのだそうですが、その中には「12時に良くなった」とおっしゃる方と、それから、「ちょっと効いてくるのに時間がかかるんですね…?12時にはあまり変化を感じられなかったのですが、2時間くらいしてから、調子が良くなりました」という方とがあったのだそうです。
タカツカヒカルさん、ちょっと性格わるいですよねえ…。
いや、氏に文句を言っているのではなくて、科学的な検証をするためには、そのくらいの意地悪を入れておくものなのだなあ…。と、若い頃にこの本を読んで納得してしまいました。
この文章から「遠隔ヒーリングはやっぱり有効なのだ!」と結論するのも、それはちょっと早計な気がします。とはいえ、ある程度の法力?を持った方が拝むなり、お祈りするなりされると、それなりの効果、というのが出るようですねえ。
もうお亡くなりになりましたが、今弘法と称された、とあるお寺の和尚様は、ひとの身体は七割が水で出来ているのだから、水に対して祈りが通じるなら、ひとの身体に対しても同じように通じるはずだ、というようなことを書いておられました。
そういえば、生前、法話でしばしば、「わたしたちの命のもとには、宇宙を作った力がそのまま引き継がれている」とおっしゃっていらっしゃったようです。その宇宙創造の力を、個人の中で発揮することが出来るように、という話であったと思います。
じゃあ、効果がえられるようなヒーリングをどうやってするのか、あるいは、どのように祈ったら良いのか、というあたりが、けっこう難しいのかも知れません。
我欲をそのまま前面に押し出した祈りは、なかなか実現しづらいし、きれいな祈りの形になりづらいような、そんな気がします。
祈りの効果をどのように評価するか、というのも難しい話かもしれません。お祈りしなかった場合と、お祈りした場合を、両方ためしてみる、というのは出来ませんから、お祈りしたことが余計に改善する何かであったのか、たまたま自然に治っていくタイミングだったのか、みたいなことでも頭を悩ませそうです。
ひたすらにそんなのは全てがプラセボ効果である、と言ってしまうことだって出来るかも知れません。
ですが、じゃあ、そのお祈りを知らされていないひとに、有効…というか、効果が出たりするのは何故でしょうか?というところの説明が難しくなるかもしれません。観察者が知っているから、という反論はありそうですけれど。
プラセボ効果であっても良い、と思いますし、十分プラセボ効果も発揮されているのでしょうが、それを超えたなにものかが、きっと祈りにはあるのだろうと思っています。
そして、祈る時には、落ち着いた、深い呼吸が出来ているほうが良いように思います。
ちゃんと祈れるようになるためにも、体調を整えて、それなりの体力が必要なのだろうと思いますので、祈りだけじゃなくて、日々の生活で、食事・睡眠といった身体を支えてゆく日常をしっかり営むことも大事なことだと思います。