肩こりと五十肩との関係
わたしが「五十肩の根っこはここだ!」と発見した気分になっていたのは、かれこれ、もう20年以上前の話になります。当時ちょうど母親とその友人が、そういう「お年頃」でした。
エプロンの紐を結ぶのに、背中に手が回らない、とか、手が上がらない、とかいう方を、母親の友達の、その友達の…と、施術してまわった記憶があります。
そういうときに、「動くようになった!」と喜んでいただいたことは、わたしが自分の進路を選ぶにあたって、大きかったのかもしれません。
いわゆる五十肩(とわたしが呼んでいる、まあ腕が上がらない、程度の不調の場合)は、小円筋とか、棘下筋と呼ばれる、肩甲骨の真ん中より少し外側にある筋肉が凝っていることが多いようで、そこをほぐすと、大抵は可動域が広がったり、あるいは痛みが軽減したりする、場合が多かったのでした。
画像はWikipediaからお借りしました。左肩甲骨周辺の筋肉。画像内、8番が棘下筋、6番が小円筋、ということになっています。
とはいっても、やはり本格的に重症の方だと、それだけではピクリともしない、なんていう方も、時々いらっしゃいました。ボディートークの師匠である増田明氏には「(身体の不調はおおよそ全身が多かれ少なかれ関わっているのだから)全身(の緊張)をほぐしていくのが大事」と言い聞かされたものでした。
そんな話をしていたのはもう20年以上前の話になってしまいました。わたしの中では、やっぱり五十肩の根っこはここじゃないか、と思うようなことが続きました。五十肩、って呼んでいますが、まあ整形外科で診療されているものの、一歩手前どころか、5−6歩手前のことを呼んでいるのだろうと思っています。
そういう話からすると、わりと最近のこと。
といっても数年前だったと思いますが、助産学生さんへの講義をしていた時のこと。休憩時間に肩こりの話になりました。学生さんたち、まだお若いのに、ずいぶんと肩こりが強いのだ…ということで、ちょっと断って、診せてもらったのでした。ふむ。いわゆる僧帽筋のあたり(肩の上側)はそんなに凝っていないのに、そこが凝った感じがする?と少し探してみたら、この五十肩のポイントに、強いコリがあったのです。「うん?肩というより、こっち側だよねえ?」と言いつつ、少しここをほぐしてみたら、肩こりがすごく軽くなったと教えてくださいました。
なるほど、肩こり「感」が強い場合、五十肩のポイント(小円筋・棘下筋あたり)の緊張の方が強い場合があるのか…とその時覚えたのでした。
その後、ちょくちょく、肩こりのある方に試していますが、やっぱり、小円筋・棘下筋あたりの緊張を緩めた場合、肩こりの症状が軽くなる方が多い様子です。
肩こりにお悩みの方は、一度試していただいたらと存じます。
とはいえ、この肩甲骨の真ん中よりやや外側、という場所は、自分の手が届きづらい場所です。手が届かない時には、机の角とか、あるいはマットレスの上にボールを置いていただいて、そこを当てるとか、もしくは、マッサージ棒を使っていただくとか、そういう工夫をしていただけたら、と思います。
もちろん、揉んでくださる友人や家族が居る方であれば、お願いするのも、とっても良いコミュニケーションになると思います。コリが強い場合は揉んでもらうと、結構痛かったりしますけれど…。