貧血のこと

貧血について、っていう文章はわざわざ書くまでもないくらいに、あちこちでいろいろな方が書いてくださっています。が、まあわたしもそれに倣って、少しだけ書いておくことにいたします。

まずは「脳貧血」といわゆる「貧血」は違うってことは知っておいてください。
脳貧血っていうのは、特に立っている間に気分が悪くなったり意識がなくなったりするものを言います。頭に通っている血が一時的に不足するので「脳+貧血」っていうことになっています。

これに対して私たちが医療の中で言っている「貧血」っていうのは、血が薄い状態のことです。

血液の検査をすると、ヘモグロビンって数値があります。「Hb」って書かれていることがけっこう多いですけれど、この基準値が女性の場合およそ12から16(g/dL)あるのが普通ってことになりますが、月経がある女性だと、11とか10とかっていう数値になっておられる方が多いです。

貧血の原因にもいろいろありますが、多くは「鉄欠乏貧血」と言って、体の中の鉄分が少ないために、鉄を材料としたヘモグロビンを作るのに材料が足りない、というのが一番一般的で、よくあるパターンです。鉄は出血で喪われますので、月経があると、どうしても鉄が足りなくなって、鉄欠乏貧血がでてくるわけです。

月経の量が多い場合には、これは婦人科での治療が必要になることもありますので、これはこれでご相談くださいませ。

貧血の治療としては、じゃあ、鉄を補充したら良いよね!ってことになるわけですけれど、鉄剤には、飲み薬と注射薬があります。

この飲み薬の鉄剤が、けっこう「胃腸に負担がかかる」ということが多くて、胃が痛くなるとか、吐き気がするとか、そういう形で様々な症状が出てくる方がいらっしゃいます。

実は、胃腸が弱い方ほど、そうした症状が出てきやすいわけなんですが、貧血になりやすいのも、胃腸が弱い方の方が多いんですよねえ…ってことで、鉄剤が必要になる方ほど、鉄剤が飲みづらい、というジレンマがあります。

これをなんとかするには、一つは「注射薬を使う」って方法があるわけですが、それもまた大変だったりすることもあります。

以前使用されていた鉄の注射薬はアレルギー反応が起こることが多かったことから、製造中止になりました。最近新しく、週1回の投与で済む注射薬がでてきて、注射の頻度が下げられるようになったところです。

もう一つ、なんとかする方法としては、「胃腸を強くする」という方向があります。これは漢方薬などを使って胃腸の調子を整えていくところから始まります。時間はかかりますが、ゆっくりでも改善してしまえば、あとは元気に過ごせる可能性がありますし、どちらか一方だけを選ぶ必要もありません。

さらに、胃腸で吸収された栄養分を、身体に届く形に変換していくためには、ちゃんとした睡眠が大事です。寝不足だと貧血が進みます。

そういう意味では「しっかり食べられるように胃腸を整えて、かつ、ちゃんと食べて、よく眠る」ことが、やっぱり健康のためには大事、ってことになります。

貧血だけじゃなくて、血圧のことなどを考えても寝不足は問題を引き起こしますので、睡眠もしっかり摂ってくださいね。