銀杏の思い出
まだわたしが小学生か、中学生のころ。お正月には家族で初もうでに出かけたものでした。神社の参道には、いろいろな出店が並んでいます。
椎の実を煎って、紙袋に入れて売っているお店があって、毎年、似たようなところで椎の実を買っては、お参りからの帰り道で食べていたものでした。
そのお店に、ギンナンも売っていたのだと思います。殻の大きさがちがいましたが、そんなものを食べたような記憶が残っています。
銀杏並木はけっこう見かけましたが、わたしの通っていた学校には、ギンナンの生っている木は、ほとんどありませんでした。なっていたら、あの実が食べられるのに…とそんなことを考えていたものでした。
京都にやってきて、気づいたのは、京都市の街路樹にはけっこうな数の銀杏が植わっていて、しかも、けっこうあちこちでギンナンがなります。新婚の頃だったと思うのですが、時間だけはあったその頃に、ギンナンを拾って来たのでした。
とはいっても、けっこうな臭いのする実を取り除かなければなりません。
洗面器に水を張って、何も知らない私たちは、素手でギンナンの実を剥いたのでした。
そうやって食べたギンナン…これは種の部分を食べているわけですが…はそれなりに美味しかった、と思います。そういえば、食べ過ぎると健康に害がある、なんていう話もあります。幸いに、そこまで多く食べなかったので無事でした。が、翌日だか、その次の日だか、手の皮がずるりと剥けてしまいました。
しかも、ギンナンの皮を剥く作業中に、顔をさわっていたらしく、顔にもかぶれが発生…こちらは、しばらくしてから出てきたので、ギンナンとの関連に気づかず、なにか悪い病気にでもなったのだろうか…とずいぶん心配したものでした。
結局、ギンナン拾いはその年だけだったように思います。臭いと、それからかぶれが大変でした。なるほど、皆さんあまり見向きもされない、というのもわかる気がします。
毎年、街路樹の根元周辺で、落ちたギンナンの実が潰れているのを見ると、これ、かぶれるんだよなあ…と思い出す次第です。銀杏の黄色い葉っぱはとても綺麗なのですが、落ち葉になると、片付けも大変ですし…。管理されている方々も本当にご苦労をされているのだろうと思います。
そういえば、秋のタイミングで、街路樹の剪定もされていました。落ち葉の片付けを減らすためでしょうか。これもまた、いろいろと大変なことだなあ、と思っています。