院長のバーチャル講義4(月経困難症の治療)

器質性月経困難症の場合は月経困難を引き起こしている疾患を治療することが必要になってくる場合もあります。

子宮内膜症に対しては、手術(開腹手術ないしは腹腔鏡手術。最近は腹腔鏡手術が一般的になってきています)による病巣の除去も検討されますが、完全に病巣を除去することは難しいです。
月経が繰り返されると、病巣が再度出現してくることが多いため、現在ではホルモン剤による治療を行って、病巣の増殖を抑えることが優先されるようになってきました。
手術は、妊娠の希望があるタイミングなどで選択されることが多いようです。

ホルモン剤の治療としては、いわゆる経口避妊薬(OC)ないし、低容量エストロゲン・プロゲスチン(LEP)製剤と呼ばれる薬を用いる場合と、プロゲスチン製剤を用いる場合、それから、偽閉経療法といって、GnRHアナログというホルモン剤を用いて、一時的に閉経のような状態にして、月経をなくす場合とがあります。
それぞれの薬によって得られる効果や副作用も異なりますが、おおよそ、子宮内膜症の病変の増殖を抑えて、症状の軽減をはかることが期待されます。

子宮筋腫による月経困難症に対しては、同じようにホルモン剤による治療を行う場合と、子宮筋腫を切除摘出してしまう、手術療法を行う場合があります。子宮筋腫を切除摘出した場合は、子宮に傷が残りますので、妊娠出産の際に、帝王切開を選択していただくことがあります。

機能性月経困難症の場合は、ホルモン剤による治療を行うか、あるいは対症療法として、鎮痛剤鉄剤の使用を行うことが多いようです。

漢方薬や、あるいは生活の指導を行うことで症状が軽減する方もけっこういらっしゃいますので、お薦めしたりしております。実際に診療がはじまれば、院長にご相談ください…と言いたいところではあるのですが、一般向けに、中医学者の邱紅梅先生が良い本を書いてくださいました。

『生理痛は病気です』邱紅梅著、光文社新書(2023年)

https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334046736

月経困難にお困りの方、是非いちどご覧くださいませ。