頭は仮置き場(その2)

頭に対する施術を、クリニックで行うようになってからも、いろいろな方がいらっしゃっています。

頭への施術は、頭痛や不眠、あるいは「頭がはたらかない」というような方に、わりと有効な印象を持っています。
もちろん、漢方薬を内服して頂いていますので、単純に施術の効果というよりは、漢方薬の効き目、というのもあるのだろうと思いますが。

こうして、頭に触れて、いろいろと見ていると、やはり、頭は仮置き場だ、という見立てがとても有効だと感じます。

頭は仮置き場

クリニックでの診療は、完全予約制にしましたので、お一人ずつの診療にそれなりに時間をかけられるようになりました。 眠れない、眠りが浅い、あるいは、頭が痛い、頭が重…

パソコンのシステムに詳しい方には「頭はメモリ、ハードディスクはどこにあるか分からないけれど、頭がいっぱいの状態とはメモリのキャッシュが90%以上蓄積しているような状態」と説明すると、わりとすぐにご理解いただけるようです。

そんなこと言われても…って戸惑われる方がいっぱいいらっしゃると思いますので、あらためて、最近使っているたとえ話をこちらに書いておきます。

頭は、「体育館」みたいなものだ、と思ってください。

わりと広い、キレイな床が張ってあって、屋根がついている場所です。とっても広いですし、雨風を防ぐことができます。それなりに快適です。

これだけ広くて、平らな床があって、屋根があって、というと、倉庫に使うのも便利です。ここにいろいろと資材を保管しておこう…って話がでても不思議じゃないんですよ。本当は。

でも、日中にバスケットボールや、バレーボール、あるいはバドミントン、ハンドボールなど、体育館の広いコートを使って、スポーツの試合や練習をしたり、ということに使います。
あるいは、横断幕をここで描く、などの作業にも使ったりするのかもしれません。

ちょうど、そういう「作業をするための場所」が、頭というところの本来の役割です。

ところが、場合によっては、その「作業するための場所」にいろいろとモノを詰め込むような状況があります。自然災害のあとの避難所に使われたりするのが、その特徴的なケースです。

頭がいっぱいの方、というのは、この避難所状態が続いている、と思っていただくとわかりやすいかもしれません。避難所でありつつ、でも、その隙間で、スポーツもやりたいよね、というのが頭の実状ですから、どうしてもこっちの隙間ですこし、あっちの隙間で少し、なんてことで、あちらやこちらを行ったり来たりしていると、効率は悪いですし、どんどん熱くなります。

それが、頭が重たい状態で無理に使うとのぼせる、ということの説明になります。

じゃあどうしたら良いのか…?っていうと、「頭をともかく、空っぽにしてください」っていう話になります。…とは言っても、パソコンみたいに「キャッシュを消去する」というようなコマンドはありません。一つ一つ、自分の頭の中と交渉せねばならないわけです。

ここの交渉というか、頭の中を軽くする、という方法のひとつが、ビジネスなどで用いられる「未完了の完了」という作業です。

考えている事とか覚えていなければならないことを書き出して、次にそれを考える日付を書くと、脳みそ的には「終わった」判定になるのだそうで、こういう作業を繰り返していただいて、頭を軽くしていただきたいのです。

具体的に、どのようなことを書くのか?ですが、可能なら全て、書いていただきたい。
とはいっても、頭の中のモヤモヤをきっちり言葉に変換するのも、けっこうな才能と時間が必要になります。

最近、わたしは「明日は別人のわたし…あるいは記憶喪失になったわたし…が起き上がってくるので、その人が困らないように、申し送りを書いておいてください」と説明しています。忘れないようにメモを書く、のではなくて、忘れるために書く、というのがポイントです。

これをやっていただくと、頭の中がずいぶんと整理され、軽くなります。

何度も同じ事を書いていますが、騙されたと思って、一度お試しくださいませ。