あやしい・あやしくない

「アヤシい」って、時々そういう言葉を使います。

そういえば、いちばん最初の師匠は、時々、アヤシいところにも連れて行ってくれました。

いちばんアヤシかったのは、南米原産だかの変なお茶をみんなで飲んで、超越体験みたいなのをしましょう…というような会だったかもしれません。もうずいぶんと昔の話ですが、学生にとっては、けっこう高額な参加費を支払ったような記憶があります。
何がどうなるのか、あまり説明もしてもらわないまま、師匠はそのセッションに存分に浸りこんでいて、なんとなく、ひとり取り残されたような気分で、心細い思いをしたのでした。

一体どうなってしまうんだろうか…?と思ったりもしましたが、結局、変な勧誘をされるでも、あるいは拉致されるでもなく、帰ってきました。
危ない団体ではなかったのだろうと思います。アヤシい団体ではあったのでしょうけれど。

そういえば、オウム真理教が強制捜査に踏み込まれた、というような話が、わたしが大学生になる頃にあったのですが、その直前に、勧誘されて入信(?)しかかったのだ、という経験を、同級の友人が、その後しばらく経ってから、語ってくれたことがありました。
入信するのに「入会金」とでも言うのでしょうか…?そういうお金が必要なんだそうで、それが30万円くらいするのですって。長々と入信の勧誘をうけていたその友人は、しめた、と思ったのか、どうか、「今は持ち合わせが無いので」という言葉で断ろうとしたのだけれど…そこへ、間髪をいれず、その勧誘にさそって同行していたお友だちが「あ、じゃあ、立て替えておくね」って、その大金を差し出したのだそうです。
お金が理由なら、そのお金を出してしまえば理由がなくなります。断る理由を潰す、というような形の役回りとして準備されていた、ということなのだろうと思います。もう少し早い段階で断る、ということをせねばならないのかもしれません。一番は、勧誘を受けたところについていかない、ってことでしょうけれど…。

オウム真理教はともかくとして。
いろいろな団体が、いろいろな主張をしています。それらの主張を見たり、読んだりすることで「あそこはまとも」「ここはアヤシい」みたいな判別を、外からできるのだろうか?ということを、しばしば考えます。

そして、いろいろ考えた結果として「うん。判別は無理」っていうのが、今のわたしの結論です。

直接、その人に会ったなら、わかるのかもしれません。
が、少なくとも文章だけでは、無理なのだろうと思います。

この話題を出す時に、必ず思い出す事件があります。

「ズンズン運動」という、乳児対象の施術をやっていたNPO代表が、無理な施術で、死亡事故を起こしています。2014年のことだそうです。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/397/086397_hanrei.pdf
ですが、本に書いてある文章は、一見したところ、わりと理路整然としているようでした。文章から、危ない思想が伝わってくる、なんていうことはあまり無くて、危険性は感じられないし、今から遡ってあら探ししても、さほど「妙なところ」を指摘できるわけではない、ということがあります。
この「ズンズン運動」にはわたしは直接の接点を持っていませんし、文章もチラッと見ただけで、真面目に全部を読んだわけでもありませんが、なかなか難しいものだな、と思ったのでした。

あ。

いちばん最初の師匠について行った時に、兄が「アヤシいヒトについていって!」とずいぶん心配していたのでした。そもそもあの師匠からしてアヤシかったわけです。

当時はもう少しヒゲが長かったかもしれません。
蓬髪・長髭で「お医者さん」とはとてもとても…
師匠の本。たしか表紙もだいぶアヤシいかもしれません。

ここは、どうやって解消したか、というと、紹介してくださったのが村上老師だったのでした。
「むらかみさんのご紹介だよ」と言ったら、「それなら大丈夫か…」って話に落ち着きました。

村上光照老師の思い出

私が幼いころから、時折、なにかの折りに我が家にいらっしゃって、お泊まりになるお坊さまがありました。 村上さん、とお呼びしていたその方は、村上光照、とおっしゃる曹…

アヤシいと言えば、骨盤ベルト(とこちゃんベルト)なんかもけっこうアヤシい。

なにしろ、「切迫早産にも効く」みたいなことを書いてあるのに「お産も軽くなる」って、切迫早産の治療としては、赤ちゃんがお腹の中に留まる方だし、お産が軽くなる、っていうのは、赤ちゃんが出てきやすくなる方だし、方向性がまるで逆なのに、両方に効くって、そもそも論理的に破綻していない?って思ったものでした。

アヤシい、と書いていますが、代表の渡部信子氏とは個人的にも交流があります。
彼女自身もたしかな技術を持った方で、わたしもいろいろと教えていただきました。文章の中には「それはちょっと言い過ぎじゃないか」と思うことも稀にありますが、しばらくすると文章を改訂されて、そのような言い過ぎのような部分はいつの間にか変更されています。全体としては、かなりまともな主張をしていて、きっちりと技術を言語化しつつ、伝えることへの工夫を怠らないという意味では立派な指導者をされている方です。

さて。
そんな「アヤシい」界隈の話ですが…。
じつは、当院の診療業務がそれなりに形になってきましたので、「そろそろ…」ということで、当初より検討していた、院内での物販について、相談をはじめたところです。

にしむらがお薦めする、健康食品、ということでいくつか例示したのですが…。

「センセ、それはだいぶアヤシいんじゃないの?」って話がけっこう出てきました。

たしかに、アヤシいんです。何に効くの?っていうのは、健康食品ですから、書けないわけです。そして、実際に何が効いているの?っていうのも、有効成分がハッキリしているものもあれば、なんだかよくわからないのに効いているものもあります。

ボンヤリ元気になる、くらいならまだ良いのですけれど。

「そらセンセ、いくらなんでもアヤシいですやん!」って言われて、間髪入れずに「そうなんですよ。アヤシいんです」と返事するしかない、なんてものもあります。

「アヤシいからダメ」でもなければ、「アヤシくなければ良い」でもありません。
クリニックに来ておられる方には、基本的には漢方薬を処方していますので、それらの漢方処方では足りないところ、届かないところに手が届くような、そんな健康食品を…と考え、併用したらさらに元気になる、なんていうものを採用できたらなあ…と考えております。

また実現しましたらご案内いたしますので、どうぞお楽しみに。