きみがため 春の野に出でて若菜つむ わが衣手に雪はふりつつ

百人一首に入っている歌ですが、若菜つみ、は、新年の行事だったのだそうです。

この歌が詠まれた背景には、当時の宮中行事や風習が深く関わっています。古くから春の訪れを祝うために「若菜摘み」という風習があり、新春に若菜を摘んで食べることで邪気を払い、健康と長寿を願う習慣がありました。

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新春に若菜を摘んで食べる…って、つまり今の七草がゆです。

春の七草

すずな、すずしろ、せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ。

すずなは蕪のことですし、すずしろは大根のことですから、大きな蕪と大きな大根を入れて七草がゆに野菜を増やした、という話をしたら、漢方の師匠に「七草がゆっていうのは「野菜を食べる」のではなくて「新しく出てきた若菜の命をいただく」のだよ」と教えていただいたのも、ずいぶんと古い思い出になりました。

当時の「新春」は旧暦でしたから、今の暦で言うなら、2月のはじめになるのでしょう。

雪の中に出てくる新芽、というのは、生命力の象徴だったのだろうと思います。最近は暖冬のせいか、京都市内では雪をあまり見なくなりましたが。

今は「七草がゆセット」がスーパーにもみられるようになって、便利になった、という反面、自分で若菜を摘む、ということはほとんどなくなりました。時代の流れもあるでしょうし、環境の変化もありそうです。

お正月のご馳走に、胃腸がくたびれたところの、一休みと回復の良い機会だ、と位置づける方もあります。
胃腸の調子を整えて、冬を乗り切っていただきたいものです。