じんましんのこと

蕁麻疹(じんましん)っていうのは、さまざまな事情によって、皮膚に出てくる、かゆみを伴う紅斑、ってことになっています。皮膚が赤くなって、かゆくて、しかも痕が残らないで24時間以内に消失する、というものを、だいたい「じんましん」と呼ぶわけです。

さまざまな事情、というのについては、いろいろな原因が言われています。人によっても違いますが、食品によるアレルギーなんかもありますし、気温差などで症状が出現することもあります。ウィキペディア(蕁麻疹)には、

発症原因は3分の2が判明しないが、対症療法として第二世代抗ヒスタミン薬(第一世代抗ヒスタミン薬より鎮静作用がない)が第一選択薬として治療に使われる。

って書いてありました。発症の原因が3分の1しかわからない、というか、3分の1はわかる、というのは、原因判明として少ないのか、それとも多いのか、ちょっとわかりかねますが、まあ原因がわかったとしても、それを避けられるものばっかりとも限りません。
花粉症もそうですが、これが原因だとわかった、といって、その全てを避けられるわけではありませんので、どうしても症状を抑えるには、抗アレルギー薬(主に抗ヒスタミン薬)を使うことが一般的になります。

ところで、じんましんが出やすい方は、皮膚をひっかいたりすると、その部分がミミズ腫れになったりすることも多かったりしますが、これを漢方的に考えると、皮膚の下に「熱」が籠もっている状態で、なにかのきっかけにそれが外に出てくるのだ、と言えます。

皮下の熱は、じゃあどこから来たのか?って考えると、わりと頭の緊張が強い方が多いことが見えてきました。

つまり、頭の緊張と酷使によって、頭に熱が発生したものが、うまいこと冷やしきれずに皮膚の下に残っている状態、ということなのかもしれません。

それから、じんましんが出る、という方に多いのは、みぞおちの緊張です。

ストレスとみぞおちの緊張

みぞおちの部分を、漢方の腹部触診では「心下(しんか)」と呼んでいます。この部分をおして痛みがあったり、あるいは緊張していて、そもそもつっかえるような感じがある…

どうしてこのみぞおちの緊張が、じんましんと関係があるのか、それはまだ、わたしはハッキリと納得できるような理由を見つけられてはいないのですが、「じんましんが出るんです」とおっしゃる方の多くに、みぞおちの緊張がありました。

みぞおちの緊張は、いわゆるストレス状態であることを示唆しますから、ストレスがあることと、頭の緊張と、に関係するのかもしれません。

じんましんが出る、出ない、というのは、原因に接触したかどうか、も重要な要素ですが、もう一つは、本人の体調が落ち着いているか、それとも「寝不足」や「ストレス」あるいは「疲労」などの状態が重なっていないか、というのも大きな要素になります。

そうした本人の体調の部分では、頭の緊張と熱、それから、みぞおちの緊張、というのが、じんましんが起こりやすい状況に近づく、ということなのだろうと思います。

これらの「本人の体調を整える」という方法論は、決して通常のじんましんの治療と矛盾したり、対立したりすることはありません。なので、それぞれ、できるところから建て直す、ということが大事だと考えています。

そういえば、先日、ボディートークの師匠から「じんましんが出たのだけれど…」と相談がありました。ちゃんと治療のお薬をもらっていたそうですが、わたしが「頭が忙しいと出やすくなるみたいです」と説明したら、ちょうど原稿の締め切りが重なっていたそうで、大車輪で頑張っていたところだったとのこと。やっぱりあるんですねえ…って電話口で笑ってしまいました。

身体に出てくる症状、って「日常生活であまり無理を続けてはいけませんよ」というメッセージだったりすることもあります。上手にメッセージを受け取って、無理のない生活を送って頂きたいものです。