元気が出るってどういうこと?

わたしが子どもの頃、少年マンガ雑誌『ジャンプ』には「こちら葛飾区亀有公園前派出所」というマンガが連載されていました。冒頭にちゃんとタイトルが記入されているのですが、まあ、そんな長い文字列はぜんぜん視野に入っておらず、主人公の愛称である「両さんのマンガ」と認識していたのを覚えています。しばらく経ってから、タイトルを知って、びっくりしたものです。

この「こち亀」のマンガですが、毎週、様々なテーマで物語が展開します。とてつもなくファンタジーな話の時もあれば、わりときっちり情報を整理してくれる話もあり、興味深く読んでいたように覚えています。

ある時、警官の同僚がどうしても高級スポーツカーが大好きで、他の全てを諦めてスポーツカーを購入した、という話がありました。車にお金をつぎ込んだ結果、本当に車以外、ほぼ何も持たない生活になり…という流れで、車に紐をかけて洗濯物を干しているシーンが印象的でした。

子どもの送り迎えもその車でするわけですが、見るからに高級外車です。お金持ちの御曹司と勘違いされて、誘拐事件に巻き込まれる…という話でした。

一点突破で高級品を扱うことは、どちらかというと少ないので、高級なモノを持っていると、経済的にゆとりがあるのだ、と判断されがちです。とはいえ、このあたりは、本当に個人差も大きいようで、貯金して慎ましやかに生活している方が資産家であったり、あるいは、ブランドバッグなどを持っている方が借金を抱えておられたり、ということも珍しくない、ということのようです。

お金の話にたとえてみたわけですが、元気、というのも、どこかお金に似ているのかもしれません。

消耗して、元気がなくなっている状態は、大きな借金を抱えているとか、あるいは収入がすごく細い、という状況と似ているように思います。再び元気になるまでには、コツコツと元気を積み重ねて、貯蓄してゆくとか、今までの借金を返済するとか、そういうことが必要になる、と言えるでしょう。

漢方薬を使うと、いわば「収入が増える」ような状態になるのだ、と考えていただくと、説明がしやすいわけです。

元気になれば、活動的にもなれます。活動的な状態というのが、「金回りが良い」状態と言えるかもしれません。

ところで。

ひとはやけくそになってしまった場合に、なけなしの貯蓄をパーッと使ってしまう、ということが発生することもあります。

もちろん、資金繰りが安定してきたから、金回りが良くなった、という方もあるでしょうが、実際に外から見ていて、金回りが良くなった理由が「資金繰りが改善したから」なのか「やけくそになったから」なのか、というのは、分かるのでしょうか…?

ヤケになっていると、目が据わっている、みたいなことが起こっているのかも知れませんが。

ひとの身体が「元気になってきた」というときに、必ず前者…つまり、体力がしっかり回復してきて余裕がでてきたから、と言えるのかどうか、というのは、いつも考えます。

むしろ、なけなしの元気を無理矢理に引っ張り出してきたりしてはいないのでしょうか?

元気になってゆくプロセスを、自宅の大掃除になぞらえるならば、大掃除を始めると、不要物とか粗大ゴミとかが一時的に増えます。この部分だけを切り取ってみたなら「かえって家が汚くなった」とも見えるかもしれません。

むしろ、押し入れにモノを押し込んだ方が、早くに「片付いて、きれい」な状態を作れるかもしれません。

当座の症状をなんとか乗り切る、ということも時と場合によっては、とても重要ですが、当座の症状を抑え込むことが、治療の全て、では無いのだろうと思います。本当は、症状が出てきている根っこから、症状が出てくる流れを断ち切りたいところではあるのですが、ここの流れを断ち切ったところで、さらにややこしい症状にうつってしまったのであれば、これはこれで考えものです。

なので、やっぱり養生がだいじ、ということになります。

養生のためには、良い食事をとること。そして、しっかり睡眠時間をとること。

そのために、お腹の調子を整えていただいたり、あるいは眠れるように、頭の中をスッキリさせて頂いたり、ということが大事になってきます。

こうした変化は、あまり急激には起こりません。ゆっくり、じっくりの変化があって、少しずついろいろな事が楽になってゆく。そんな過程を経ているように思います。

ちゃんと自分自身で元気を出す、が可能になること、それが一番大事なのだと思います。