操体法のこと

橋本敬三という方が、「操体法」というのを始められた、ということになっています。

基本的には、「気持ちよい方向に動くことで、人は健康になってゆく」ということらしいのですが、温古堂というのが、仙台にありまして(https://onkodo.info/)、どうやら、私の母が若いころにそちらでいろいろ教わっていた、らしいのです。

私が幼いころには操体法のうち、家庭でできる子どもむけの調整を、母がやってくれていました。仰向けになった子の足指を持って、トントンと引っ張っては落とす、というのがその一つで。もう一つは「両脇をくすぐる」というものでした。くすぐられて、こそばゆいから、逃げ回る、その無意識の動きが、体を調整する、という話になっていました。

操体法の思想は、その先でいろいろ変化しつつ他の技法の中にも受け入れられているみたいですから、ふとしたところで出会うこともあったのですが、そういえば、別の先生のセミナーでも、みんなでよってたかってくすぐる、というセッションを経験したことを思い出しました。

くすぐられている間は本当に苦しいのですけれど、終わると憑きものが取れたように、スッキリしたのを覚えています。難しい技術とか、覚えておくべきこととかがないので(逃げ回るときに暴力を振るうことがあります…私もくすぐられて逃げている時に、母をぶん殴っただか、蹴っただか、ということをやらかしまして、それ以降やってくれなくなりました)逃げ回る時の安全性だけ確保されているなら、説明も短いし、誰でもできる…と言いたいところなんですけれど、やっぱりそれが難しいんでしょうねえ。妙な緊張が取れて、本当に良い方法ではあるのですが。

ボディートークの師匠である増田明氏も、自身のボディートークという「仕組み」を作り上げるまでにこうした手法や技術を渉猟したのだそうで、操体法の技法によく似た方法が取り入れられています。

私も学生になって、実家を離れたころに、橋本敬三氏の論想集『生体の歪みを正す』(https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=3441 )が出版されていたのを見つけて、購入したものでした。
橋本敬三氏は医師でらしたとのこと。その経験の中には鍼を用いて云々、ということも書いてあり、これは追いかけて自分もやってみねば。ということで、氏の書いてあるのはこれか?って思いながら、独学で鍼の取り扱いを覚えたのでした。

氏の著作には『からだの設計にミスはない』(https://xn--z8j3ah2b4856byrk.com/?pid=27089224 )というタイトルのものもあり(今回表紙写真を使わせていただきました)、からだっていうのは、本当にうまいことできているんだ…ということが、どうやって調整をするか、という方法とあわせていろいろ書いてあります。

こうした、私の身体に積み重なった具体的な経験の数々が、私の人間観であったり、身体観といったものを、培ってくれたのだ、と、振り返るごとに思われるのです。