新型コロナの影響?

2019年にCOVID-19としてパンデミックを引き起こした、新型コロナウイルスの話題もずいぶんと古くなってきたのかも知れません。
mRNAを導入する形のワクチンが試験的に運用されたり、その研究をされていた方がノーベル医学生理学賞を受賞されたり、という話もありましたが、最近は新しい型に対応する、新しいワクチンが出たそうです。
そんなコロナウイルスですが、いろいろと影響も残っているようです。
新型コロナ、というものが出てきてからの印象として、風邪を引いたあとに、咳が残る方が増えたように思います。1ヶ月どころではなくて、平均して2ヶ月くらい、咳だけが残る、というのは、コロナ以前にはあまり見かけなかった気がするのです。
「咳が残るんです」とおっしゃる方の、次の言葉はたいてい「いや、コロナの検査は受けていて、それは陰性だったんですけれど」というところまで、判で捺したようにそっくり、というのもまた興味深い話ではあります。
なので、直接的に新型コロナのせい、と言う根拠は一切無いのですが、わたしは個人的に、何らかの形で新型コロナウイルスの存在が影響しているのではなかろうか、と思っています。なんの根拠もない憶測ですが。
なんの根拠もない憶測をもうひとつ重ねると、新型コロナの感染された後に、結構鳩尾の奥に「シコリ」が残っておられる方があります。
漢方の診察では「心下痞硬:しんかひこう」と呼ぶ所見があります(面倒くさい話を書くと、「硬」の字は「石偏」ではなくて「革偏」なのだ、と言われています。活字が無いのでわたしは「硬」をそのまま使っています)。これは鳩尾の部分がつかえて、おさえると硬かったり、痛みがあったりする、というものです。
昔の漢方の教科書にもいろいろ書いてあって、これがあると人参の入った処方が良いとか、あるいは瀉心湯系の処方を使うのだとかってことになっていますが、この鳩尾のところの硬い様子、って、その中にもいろいろと分類ができる気がしています。
ひとつは表面に出るもの。これはその奥まで指が届きませんので、奥がどうなっているか、わかりません。ひょっとすると奥の緊張があるものと無いものと、に分類がさらに分かれるのかもしれません。
ひとつは、少し奥に出るもの。これを昔は「溜飲」と呼んだのではないか、と思います。鳩尾の部分に、人によって異なりますがボールのようなシコリを認めることがあります。
そして残るのは、背骨のちょっと手前くらい、奥に出るもの。
新型コロナの感染をされた後の方は、この「奥」に出ているシコリがあるように感じます。
みぞおちの緊張の話は以前も書きました。
ここの緊張があると
・呼吸が浅くなる
・手足が冷える
・動悸が出ることがある
・胃の調子が悪くなることがある
などの影響が出ます。
そして、呼吸が浅いと、やはり眠りが浅くなるので、疲れが取れにくくなるとか、溜まりやすくなるとか、あるいは、呼吸が浅いので、頭がうまく働きにくくなるとか、そういう症状が出てくることがあります。
もちろん、分子生物学的にコロナウイルスは身体のあちこちに感染を引き起こして、それぞれの場所に悪影響を残すのだ、という報告がされていますので、いちがいにこれだけで解決する、とは言いがたいのですが、このみぞおちを揉むことをやっていただくだけで、多少なり、不調が軽くなる方があれば良いな、と思っています。
じゃあ、なぜ新型コロナウイルスの影響がみぞおちの奥に出てくるのだろうか…?というところが考えどころなのですが、COVID-19って、やっぱり結構な熱と炎症を持ち込んだのだろうと思います。
肺のいちばん下の部分に炎症を引き起こしたものが、横隔膜を超えて波及した…?と考えるのが良いのかも知れません。
西洋医学的な解剖では、横隔膜を超えて…なんていうことはあまり無いのかもしれませんがそこは漢方で考える、ということで、すこし雑な考察ではありますが、お目こぼしくださいませ。
熱がこもって、かつ、久病になると、今度は「瘀血:おけつ」が出ることになります。横隔膜あたりの瘀血、というのが新型コロナ後遺症の、ひとつの病態になっているのかもしれない、と思います。