熱中症にご注意ください
クリニックまでの朝夕の通勤で、京都市バスを利用しています。
車内にはいろいろと掲示があるのですが、ふと見るとこんな張り紙がありました。

「熱中症にご注意ください」
気温が急に上昇した日などは熱中症対策が必要です。
熱中症予防対策として◎「こまめな水分補給」
◎「十分睡眠」と「適度な運動」に努めましょう。市バスは停留所間が短く、頻繁に扉の開閉を行うため、クーラーが効きにくく車内温度が高くなることもありますので、ご注意ください。
なお、熱中症対策として乗務員も水分補給を行う場合がありますので、ご理解いただきますようお願いいたします。
わたしはこれを見かけて、本当にいろいろと考えました。
まず第一に考えたことは、「乗務員も水分補給をしますので、ご理解ください」というメッセージを伝えるにあたって、これほどにあちこちに配慮せねばならないのか…ということでした。
警察官や消防士など、制服を着ている公務員的な方が、その制服のままでお店を利用すると、批判が出る、とか、あるいは職場で水以外のものを飲んでいると上司が叱責してくる、とか、お店の店員が、お客さんが少ない時にお喋りしていたり、あるいはイスに座っていたりすると、クレームが来るとか。世の中ずいぶんと世知辛いなあ、と感じることが増えました。
以前インドまで旅行した時に、トランジットでマレーシアの空港に滞在したのですが、24時間営業の店舗で、夜間はレジのスタッフさん、座って居眠りしておられましたし、若い店員さん同士でキャッキャとお喋りしていたりしました。日本のサービス精神はあまりにも過剰になってしまっているのかもしれません。
そりゃ、水分補給の代わりに、アルコールの入った飲料なんかを摂取されていたら、大騒ぎになりますけれど、そうじゃないなら、どうして問題になるのでしょう…?
ひとこと、「運転手もにんげんです。暑い時には水分補給するのが当然です」くらいでも良いのではないか…?と思ったりしましたが、まあ、それではやっぱり腹を立てる方がおられるのでしょう。
と、いろいろと考えたのですが、そういう時に、喧嘩腰になったり、威丈高にモノを伝えたりするのではなくて、誰もが受入れやすい文章にしているのが、すごいわけです。
はじめに、一般的な事実を並べることで、感情的な反応を減らしていること。
次に、自分の側の事情を言う前に、読者である乗客の体調を気遣う姿勢を示すことで、一般的な事実を受け入れやすくすること。
その上で、自分たちの事情を並べることで、反発を減らしつつ、必要な情報を提供し、自分たちの事情への理解を求めていること、という構成が、とても参考になりました。
なるほど。こういう短い文章にも、相手への気遣いが必要なのだなあ…と、勉強になった次第です。
本当に暑い日が続きますので、みなさま、くれぐれも熱中症にはご注意くださいませ。