症状は小さい子どもみたいにやってくる

小さい子の子育て中のお母さんなら、すごく身に覚えがあるのかも知れません。外の用事や家の中の用事を一通り済ませて、やっとなんとか一息つこう、と思ったところで子どもが「ねえねえ!お母さん!聞いて聞いて!」ってやってきます。

今まで気を張って大変なことやってきたのだから、少し静かにゆっくりしたい時に限って、と、だいたいそんな形で愚痴がこぼれますが、ボディートークの師匠によると「子どもたちは、親の状態を見て、待っているのだ」というのです。

つまり、気を張っている時には、子どもは遠慮して、近づかないようにしているわけです。子どもなりの親に対する配慮なわけです。緊張が緩んだところで、はじめて、自分とお母さんの時間、ということになるわけです。

お母さんとしては「自分ひとり」の時間が欲しいところではあるのですが…。

診療をしていると、時々「いちばん大きな症状が落ち着いたかと思ったら、次の症状が出てきた」と嘆く方がいらっしゃいます。人によっては「ひとつ片付いたかと思ったらまたひとつ、それが少しマシになったらもうひとつ」と次々と別の症状が出てくるのだ、とぼやかれます。

以前も書いたように思いますが、ヒトの身体というのは、だいぶ不思議なもので、気を張っている時には症状や痛みが出にくかったりします。ハードなスポーツで、試合中は痛みを感じないのに、終わった途端にあちこち痛くなる、なんていう話もしばしば耳にしますが、決して運動だけに限ったことではありません。仕事中には症状が出ない、なんていうこともしばしばあります。

そして、だいたいは、症状が「順番に」出てきます。これは次々に悪いところが発生している、というよりは、もともとあちこちに負担がかかっているのだけれど、症状として出すのを遠慮している、ということのようです。

ひとつ片付いた時に間髪入れずに次の症状、というのもなかなか大変ではありますが、だからといって、じゃあ、一度に全部の不調がおそってくる、ということとどちらがマシか、と考えていただくと、やっぱり順番に待ってもらう方がマシなのかもしれない、と思います。少なくとも不調はありつつも、身体は動くことができたりしますし。

それだけ、身体の不調は待ってくれているのだと思います。あまり待たせるのもどうかと思いますので、こまめに解消していただく方が良いのですけれど。