立秋

暦の上では、今日から「秋」なんだそうです。

あきはゆふぐれ。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに…。

8月といえばわたしたちの時代は、まだ丸ごとが夏休みでした。夏休みにお手紙を書こう!という宿題があったように記憶しています。暑中お見舞い…もしくは「残暑お見舞い」を書くのでした。

残暑、ってなんだよ。まだまだ暑い盛りじゃないかよ、って思っていました。

最近、毎朝同じような時間に、クリニックまでの道を歩いていると、ふと、日差しが緩んでいる感じに気づきました。

ああ、こうして「秋」が来るんだなあ…と思った次第です。

夏至は6月にあっても、暑さが盛りを迎えるのは8月ころです。

盛りを迎えた、というところは、つまり、頂点です。頂点を迎えているということは、あとは「下っていくばかり」になるわけで、日差しはやはり、一番動きが早いのでしょう。

そういえば、冬至の時も似たような話をした覚えがあります。

冬来たりなば春遠からじ

今日(令和6年12月21日(土))は冬至なのだそうです。 冬至というのは、1年の中で、もっとも日の出から日の入りまでの時間が短い日、になります。 この日を境にして、陽が…

こうして、次の季節の予感と、前の季節の名残を味わいながら、日々が進んでゆくのでしょう。

易経には、「亢龍有悔(こうりゅうくいあり)」という文言があります。冒頭、乾為天の卦の一番上の爻の言葉です。上り詰めた龍は、次には降りてゆくしか道がありません。

易経の思想は、とどまるものは何も無い、万物は流転してゆく、というものですから、当然のことといえば当然のことなのですが。

「これもまた過ぎ去る」

精神科医の師匠がことあるごとに教えてくださった叡智です。師匠は仏教の方からこの言葉を引っ張ってきたのだ、と言っていました。「諸行無常」ですね。

良いことも、良いままではなくて、過ぎてゆく。

けれど、しんどいことも、つらいことも変化してゆくのだ、という話でした。

過ぎゆく季節との関わりですが、養生を丁寧にしていただいて、それぞれの季節をしっかり過ごしていただけると、次の季節が過ごしやすくなります。

そんな季節の養生も、クリニックの診療では支援しております。1年、あるいは2年くらい診療を継続することで、「そういえばこの季節、以前は不調があったけれど…今は楽になりました」と言ってくださる方もありました。まだクリニックは1年経過していませんが、今後そういう方とのお付き合いが増えてゆけば良いな、と思っております。