筋肉のコリって何だろう
ひとさまの身体に触れると、筋肉が凝っているところがあります。
このコリ、って一体なんなんでしょうか?
昔、わたしは「よく使う筋肉がかたくなる」という説明をしていました。今でもその思いはあまり変わらないのですが、知り合いの鍼灸師さんは、「筋肉をどれだけ酷使しても、それだけではコリにはならない」と言っておられました。
筋肉そのものが引っ張られること、引っ張ること、でコリができるのではなくて、筋肉と筋肉の間の「筋膜」が緊張してかたくなるのだ、というのがその方の主張でした。
うーん?そうなの?
このあたり、究極的には水掛け論にしかならないわけです。
というのは、筋肉そのものを取り出して来たら、生体の筋肉とは状況が異なりますので、観察したところで、生きて、生活している筋肉の状況が把握できたとは言いづらいからです。
臨床的な経験として、コリが出てくる場所は、たしかに、筋肉の交差している部位が多いように見受けられます。あちら方向の収縮と、こちら方向の収縮の交差点は、やはり筋膜の摩擦が多くなるのでしょうか。
そういう点からすると、同じ方向の筋繊維だけだと、コリの形成は少ないのかもしれません。
とはいえ、やはり単体の筋肉でもそれなりに強いコリがある、ということも時々あります。
うーん。どうしてだろうか…?と思いながら、ふと気づいたことなのですが。
筋肉って、太い塊の周りに筋膜があるんですよねえ?
たしかにこの部分の筋膜についての話題がほとんどなのでしょうけれど、よくよく考えたら、きっと、一本一本の筋繊維の周りにも、いわば筋膜みたいなものがありますよね?

https://www.japa.org/tips/kkj_2201/ からお借りしました。
この、線維の周りにある、薄い筋膜みたいな構造が、かたくなったら、それって筋膜がかたくなる、っていうことと同じような意味ですよねえ?
…って思ったら、一応、これも筋膜がかたまったもの、と言えるのかもしれません。
まあ、単体の筋肉も、無数の筋線維から形成されているわけですので。
それぞれの細い線維が、中で交差…はしていないにしても、方向が微妙に違ったり、収縮率が違ったりするわけですし。
この、筋繊維をこまかくほぐしていくイメージで、触れると、わりと筋肉のコリが軽減しそうです。
ということで、触れる時には、大きな筋肉を作っている、細い線維をイメージしたりしています。
まあ、いずれにしても、イメージだけの話なのですが、こういうイメージの違いが、ひとに触れる時の、大きな差になり得る、というのが、身体に触れる仕事の面白いところです。













