良くなるまでの時間

日々、診療していると、「こんな状態が何ヶ月も続くなんて、耐えられない」とおっしゃる方も時々あります。
「いつまでわたしはこの症状に苦しんだら良いのですか!」と訊かれることもあります。
良くなるまで、いったいどのくらいの時間がかかるのか?
だいたい、その症状の原因が積み重なってきたのと、同じくらいの時間を考えてください。
うまくすると、その半分くらいで楽になることもありますが、やはり年月をかけて積み重なった、しんどさ、とか体力についての「借金」は、いっぺんに解消できるものではありません。
もちろん、たとえば、10年なら10年、今のしんどさが続く、わけではありません。適切に対処することで、徐々に症状は軽くなっていくはずです。が、本復というところまで考えると、やっぱり、それなりの時間がかかる、と覚悟して、腰を落ち着けて対応して頂きたいのです。
そして、ひとつ症状が改善した、と思ったら、また別の症状が出てきた!というようなこともしばしばあります。今までの、いちばん大きな症状が解消したことで、押さえ込まれたまま順番待ちしていた、次の症状が表に出てきていることが多いように見受けられます。
ちょっとした不調がいくつかあった時に、タンスの角に足の小指をぶつけたら、ちょっとした不調は、「消えます」。これは、症状が消失した、わけではなくて、もっと大きな緊急事態のために、他の症状が遠慮して、「順番待ちの列」に戻ったような状態だと考えて頂いたらわかりやすいかと思います。
なので、一番大きな症状、という重石が取れると、次の症状が飛び出してきます。日々、しんどい思いをされていると、「また次々と症状が出てきた」と、思われることもあるかもしれませんが、ここは、「いちばん大きかった症状を卒業したんだ」と考えてください。本当は、ここで一息つきたいところですが、まあ症状が並んで待っている場合は、一息つく余裕はあまりくれません。そこがちょっと残念な気がしています。
そうやって、本当に多彩な症状が出てくる場合は、それだけ、自分自身の身体に無理をさせてきた、ということでもあります。
どうか、くれぐれもご自身の身体を大事に取り扱って頂きたいものです。