花粉症の話

まだ2月なのですけれど、どうやら、今年は花粉の襲来が早いのだそうで、敏感な方は、そろそろ、症状が出始めているのだとか…。

花粉が飛ぶ、ということは春ですから、今年は暖かくなる、ということでしょうかしら?

スギ…だけとは限りませんが、スギ花粉については、温暖化によって、飛散の期間が長期化する傾向があるのだそうです。
前年の猛暑によって、今年のスギの雄花が増えている、というのもあるようで、なかなか、花粉症の方には大変な話になりそうです。

西洋医学的な話をすると、花粉症はアレルギーとしては「即時型」というタイプに分類されます。番号では「I型」と呼ばれることもありますが、アレルゲン(この場合は花粉)との接触から分単位で症状が出現する機構です。
体内にあるIgEタイプの抗原がこのI型のアレルギーには関与しているのですが、この抗体が反応することで、マスト細胞と呼ばれる細胞から「ヒスタミン」が分泌されます。
このヒスタミンが痒みの反応を引き起こすのだ、というのが説明になっています。

なので、花粉症の治療としては、いくつかの段階があります。

1)「アレルゲン」である「花粉」を除去する…掃除するとか、防護するとかでしょうか。

2)「花粉」が「アレルゲン」にならないようにする…減感作療法というのがあります。ごくごく少量から、アレルゲンに触れていく量を増やしていくことで、花粉に「慣れる」ようにする治療方針です。ただし、これはけっこう難しい。うっかりアレルゲンに触れる形になると激烈なアレルギー反応を引き起こすこともあります。じっくりかけた治療として、いまは「シダキュア」という薬が開発されていますが、取り扱いと治療にはけっこう慎重な姿勢が必要です。

3)「ヒスタミン」の分泌が痒みを引き起こさないようにする…抗ヒスタミン薬というのがここの分類に入ります。
もともと、初期の抗ヒスタミン薬というのは、とても眠気が出てくるものでした。今では睡眠導入剤より安い、ということで、米国では睡眠導入剤の代わりに処方されることがあるのだとか。
そういう初期の製剤から、だいぶ時代が下がってきて、最近は(それほど)眠くならないような製剤が増えてきました。とはいえ、ひとによっては眠気が出てくる事もありますので、そのへんは要注意しながら…ということになります。

漢方の話をするなら…と考えたのですが、このアレルギー反応のシステムに、漢方で切り込む場所が難しいわけです。
…ということで、漢方の理屈ではアレルギー反応をどう考えているのか?というところから話をしてみましょう。
とはいえ、あまり難しいことはありません。

つまり、花粉症も風邪の一種だ、という理解で良いのです。

ええええ?そんな乱暴な…。

もともと、外因性の病気を引き起こすもの、として、わたしたちは、細菌やウイルス、というものの存在を知っているわけですが、まあ、江戸時代くらいなら、あまり細菌もウイルスも無かったわけです。
で、その時代に花粉症があったかどうかはともかくとして、花粉も、似たように症状が出てくるなら、「外因」のひとつ。「外邪」でしかないわけです。
そして、反応としても、皮膚や粘膜面で闘病反応を引き起こし、闘って熱が発生している、ということですから、この熱をなんとか整理することが治療方針になります。
あるいは熱が炎症になって、粘膜での分泌が増えますから、この分泌物を減らす、という処方が用いられます。

有名な処方としては「小青竜湯」というのがあります。
他にも「麻黄附子細辛湯」が花粉症に有効かもしれない、とか、「黄連解毒湯」で熱をとるとちょっとマシになる、とか、そういう形で使えそうな処方はいくつかあります。
また小青竜湯は「麻黄」を含んだ処方ですので、胃腸の弱い方には、胃にさわる形で、使いづらい面があります。そういう方には「苓甘姜味辛夏仁湯」が用いられることがあります。

花粉症は、花粉だけではなくて、高速道路の排気ガスなどが複合的にからまってアレルゲンになっているのではないか、という説もありました。都会?幹線道路沿い?の方が花粉症が多いのだそうです。
最近の抗ヒスタミン薬はだいぶ眠気が出にくくなっていますので、こうした抗ヒスタミン薬でなんとかしのぐ、というのもひとつのやり方だと思います。

漢方薬で、とお考えの方は、薬局でご相談いただくもあり、当院みたいなところでご相談いただくもあり、だと思っています。
どうかくれぐれも、良い相談相手が見つかりますように。