過去をかえることができるのか

クリニックで診療をしていると、患者さんの過去の物語をお聞きすることがしばしばあります。ひとによっては、壮絶とでもいうような、大変な過去をお持ちだったりします。

起こってしまったことは、無かったことにはできません。

そういう意味では、過去は「かわらない」と言うことになります。タイムマシンがあれば良いのに、と思うこともたくさんありますが、残念ながら、そういう便利道具の発明には、人類は到達していないようです。

タイムマシンについては、どこかの時代で、過去にさかのぼることができる機械が発明されたなら、それを使って「現在」にやってくる人がいそうですから、そうじゃないことを考えると、やはり実現が難しいのかもしれません。

ですが、起こったことの「解釈や理解」を変えることはできます。

これを、論理だけでやろうとすると、難しいのですが、身体の緊張状態が変化すると、それによって、見えてくる解釈や理解が変化する、ということもあるようです。

また、トラウマ的な記憶に対しては「タッピング」という方法がわりあい有効だ、という話もあります。タッピングについては、たとえばTFTと名付けられた手法があります。

このセッションを教えていただいて、わたしも試してみたのですが、たしかにトラウマ的な出来事と、自分の距離感が変わる、という経験をしました。

もちろん、わたしたちは「いま」を生きているわけですから、今を大事にしてゆきたいわけですが、過去の物語が「いま」に投げかけている「影」のようなものがあったときに、その影に対する解釈を変えることで、「いま」を生きやすくすることができるのであれば、それに超したことはないわけです。

そして将来、「いま」が過去になった将来に悔いが残らないような、「いま」を十全に生きてゆくことを心がけたいものです。