院長のバーチャル講義3(月経の正常と異常)

月経のメカニズムについて、昨日は書いたのですけれど、今日は月経の正常と異常の話を少ししてみます。

月経の定義としては「約1ヶ月の間隔で起こり、限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的出血」とされています。

そして、月経の正常範囲は様々な研究の結果、今のところ、以下のようになっています。

・1回の月経での合計の月経血量 20gから140g

ただし、現状、月経血の量が多い(過多月経)かどうか、というのは、たとえばナプキンのメーカーが作っている「多い日用」を頻繁に交換する、という形で評価することが多くなっています。また、月経血の中にレバーのような血の塊(凝血塊:ぎょうけつかい)が認められる場合には、ほとんどの場合は過多月経があるものと考えられます。

・月経の周期 25日から38日、変動が6日以内

月経周期が25日よりも短いと、月経が頻繁に来るようになります。これを「頻発月経:ひんぱつげっけい」と呼びますが、卵胞期が短縮している場合と、黄体期が短縮している場合があります。
逆に月経周期が38日より長い場合は「希発月経:きはつげっけい」と呼びます。さらに月経までの期間が延びて、3ヶ月月経を認めない場合は「無月経」と呼びます。

・月経の持続日数 3日から7日

月経が7日を超えて続く場合を「過長月経:かちょうげっけい」と呼びます。出血の期間が延びると、あわせて過多月経になっている場合もあります。
逆に月経があっという間に終わってしまう場合は「過短月経:かたんげっけい」と呼ぶこともありますが、こちらはあまり診療にいらっしゃることが多くないように見受けられます。

また、月経前後に様々な体調不良が重なることがあります。

特に下腹部痛や腰痛が多いですけれど、その他、吐き気や頭痛、疲労感、食欲不振、イライラ、下痢、憂うつ、などもこうした月経に伴う症状として認められており、これらが月経時、あるいはその直前から始まるものを「月経困難症:げっけいこんなんしょう」と呼びます。
月経困難症には、「子宮内膜症:しきゅうないまくしょう」や「子宮筋腫:しきゅうきんしゅ」など、産婦人科疾患が明らかに認められる「器質性月経困難症」と、そういった疾患が認められない「機能性月経困難症」があります。
月経時には子宮内膜が剥離・脱落しますから、その部分から局所の痛み刺激を引き起こす「プロスタグランジン」が分泌されるのが、痛みの原因とされています。

月経前には、また別の体調不良や気分不快の症状が出てくる方があります。これを「月経前症候群:げっけいぜんしょうこうぐん(PMS)」と呼びます。これは、月経開始の3日前ないし10日前から出現するとされており、月経が開始すると症状が軽減ないし消失するのが特徴です。

月経困難症や月経前症候群(PMS)については、本格的に話をはじめると長くなりますので、今日のところはこの辺で。
また別の機会にお話をすることにいたします。