頭の熱いひと

先日から頭の熱のことを、何度か書いております。
頭が熱いと、不眠にもなります。
赤ちゃんの手足が温かくなってくると「ああ、眠たいんだねえ」なんて言っていました。手足をさらにあたためて、眠れるように…と対処していましたが、今から考えると逆でした。
手足から頭の熱を捨てていたわけです。なので、手足は少し、冷やすくらいがちょうど良かったはず。
(とはいえ、子供って、亀甲(カメノコ)で背負っているとそのまま眠りますから、やっぱりそれなりに温めるのは有効なのかもしれません…)
頭が熱くなる理由は、やっぱりいろいろと考え事があるから、でしょうか。
この熱をなんとかする、ということで、冷やす処方を使ったりします。
ちゃんと黄連解毒湯の効能のところに「不眠」ってあるわけです。
漢方を勉強しはじめて、しばらくは、この清熱剤、というのの使い方がわかりませんでした。
わたしが勉強していた当時「補剤」っていうのがすごく前面に押し出されていて、ともかく、漢方っていうのは、補う系の処方がいっぱいあるのだ、と。
こうした処方は、西洋医学にはあまり無い発想なのだ、というような話でしたので、温める、補う、という系統の処方から覚えたものでした。
冷えておられる方も多かったので、それはそれでずいぶんと役に立ちました。が、やはり、更年期などのホットフラッシュとか、のぼせ、みたいなものにはなかなか対処しづらいなあ、と悩んでいたところでもありました。
友人の漢方医が「黄連解毒湯って、わりと基本的な処方で、よく使うよ。料理で言ったら、酢みたいな、基本調味料に近い」と教えてくれてから、少しずつ、これを使うようになったのは、わりと最近の話です。お恥ずかしながら…。
使い始めてみると、確かに、この処方、無いと困る。
最近、当院にご相談いただく方も増えて来て、有り難いことなのですが、その半分くらいの方に処方している…ような錯覚をするくらい、よく使っています。
これは、もちろん、類は友を呼ぶっていうことで、わたしが理屈っぽいから、理屈を考えて、頭が熱くなる方が当院によく集まっていらっしゃる、ということもあるのでしょうけれど、潜在的に、頭の熱でお困りの方、けっこういらっしゃるのではないでしょうか。
もちろん、更年期などの時に、じゃあ、大豆由来のイソフラボンとか、エクオールとか…っていうのが有効な方もあるでしょうし、ホルモン補充療法で改善、という方もあるのだと思います。わたしも昔、大学病院で漢方外来をやっていた時に、ホルモン補充療法を開始して、劇的な改善を経験しましたので。
できることなら、頭を熱いままでお使いになるのではなくて、インターバルをあけていただきたい。頭を冷やしてお使いになっていただきたい。でも、それが叶わないなら、やっぱり、清熱剤を試していただけたら、と思います。
頭が熱いままだとやはり不眠になりますし、不眠は不眠で不調の原因になります。
どうか、くれぐれも皆様、ご自身のお身体を大事にお使いくださいませ。













