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漢方の診療をやっていると…って、もともとわたしが婦人科だったということもあるのでしょうけれど、女性の患者さんが多くなります。
開業してからは「漢方内科・婦人科」と看板をあげておりますので、男性の患者さんもいらっしゃるようになりました。
また、出稼ぎでは、健康診断のお手伝いをしておりますが、こちらは男性の受診者さんが多い環境です。
こうした形で、それぞれ、男女の診療や健診を通して感じたことですが…。
どちらかというと、女性の方が、自分の体調不良に気づきやすい傾向があるように思われます。
そして、少し改善すると、その「良くなった」ということへの感度も高い印象があります。
一方で、男性の場合は、「よくぞここまで」と思うくらいに、けっこうしんどくなってから「調子が悪い」とおっしゃる方が多いように感じます。
じゃあ、少し良くなったら、それでお元気になるか?というと、これも興味深いことに、そういう「小さい変化」には、あまり気づかれないようです。
…となると、ずいぶんと変化が大きくないと「良くなった」と言っていただけなかったりします。
もちろん、男性の中でもちょっとした変化に気づかれる方もありますし、女性であっても小さい変化を把握されない方もありますので、おおよその傾向ですが…。
なので、男性が「ちょっと体調が悪い」とおっしゃる場合は、けっこうしんどくなっておられることが心配されます。
どうぞくれぐれも早めにご相談いただけたら…と思います。
このあたり、何らかの手段できっちりと数値が出せると良いのかも知れません。
「いまのあなたの体調因子数は389です…標準値が100から120ですので、ずいぶんと不調をため込まれています…」とか、
「前回いらしたときは563だったのが、今回は297ですので、ずいぶんと改善していますねえ!」なんていう話ができると、そりゃ、考えることは少なくなりそうです。
とは言っても、そんな数値があるわけでもなく。
全体的な、ざっくりした体調の雰囲気を脈などではかりつつ、それぞれの自覚症状がどうなったか、という話をさせていただくのが地道な臨床になっています。
そうそう。女性の場合も「良くなった」っておっしゃらないタイプの方、小さい変化が…という以外にもいらっしゃいます。
それは「今の不調」にだけ焦点が合っておられる方。
前回おっしゃっていたアレとかコレは?ってお尋ねすると「それはもう良いの!」みたいな形で「わたし、いつまでも良くならない…」っておっしゃったりする方があります。
これはこれで、ひとつの気質なのですが、わりと「女優」タイプに多い、とわたしは見ています。極端に言うと、人生が全て自分を主人公にした舞台、みたいな方です。舞台に出ている間は頑張りますから、舞台裏ではいろいろと不調が出てくる…ということのようです。