1ヶ月に15分

「こころには、毎日の積み重ねが効きます」と、精神科医の師匠は時々、そう言っていました。
今月に入ってから、当院での臨床を振り返って、どのように皆さんが元気になってきたのか…みたいなことを書いていますが、やはり、身体にも「まいにち」が効いているなあと思います。
鍼はたいへん即効性がある面も持っているのですが、一方で、その効果が治療のあとに残りにくい、という傾向があります。もちろん、効果をうまいこと長持ちさせるとか、いったん引っかかっていたところを解決することで、症状があっという間に消えるとか、そういうことだってあるのですけれど。
その点、漢方薬は、お家に持って帰って、毎日内服していただける、というところにも良さがあります。
昔、わたしは英語の塾に通っていました。
塾の宿題はいろいろありました。単語を毎日4回ずつ書いて覚えること。長文を毎日2回ずつ書いて、(週2回塾がありましたので、残りの5日、毎日書くと2回/日×5日で10回分になります)10回書いて、で、その書いた文章を暗唱してくること。
そんな宿題が毎回のように出されていたのでした。
毎日?
当時のにしむら少年は、毎日が苦手でしたので、たいていは、塾に行く当日に、慌てて10回分を書き殴っていたのでした。まあ、10回もまとめて書き殴れば、だいたい、文章を覚えることも出来ましたので、暗唱もそこでなんとかできたわけですが。
ピアノの教室に通っている生徒さんと、先生の会話でも聞いたことがあります。
ピアノ教室は、「練習する場所ではない」のだ、と。
え?練習する場所じゃないの?
練習は、ご自宅で。で、その練習の成果を確認して、次の練習内容を確認するのが、レッスンなのだ、と。
おおお。
お家でそれだけのこと…できるでしょうか。
クリニックでの診療は、しかし、本当にあっという間です。
自費施術などを受けていただいた方であれば、30分ないし1時間。ですが、通常の診療は、この3月から少し延びたとはいえ、15分前後です。
1ヶ月に15分程度ですよ。
ほんのちょっとじゃないですか。
なのに、元気になってゆく方は、元気になってゆかれる。
時々、1回か2回いらっしゃっただけで、調子を取り戻してゆかれる方もあります。
本当にわたしの方がビックリします。
漢方薬が効いている…?というところもあるのだろうと思います。
そして、それ以上に、なにか、ご自身で、毎日の生活が変わっていらっしゃる。
そういう変化があることで、どんどんお元気になっていらっしゃっているように思います。
だから、わたしの手柄ではない、わけです。
ですが、精神科医の師匠は、こうも言いました。「月に1回くらいは、心が落ち着いている師匠の顔を見に行くのが良い」と。
わたしが「師匠」である、わけではありませんが、精一杯、診療の時には安定した心持ちで居ようとしています。
安定した心持ちに触れることで、安定できる、という効果も、ひょっとしたら、あるのかもしれません。













