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月経前になるとむくみやすくなる、感情が不安定になる、あるいは過食ぎみになる、眠たくなる…もしくは眠れなくなる、などの変調を経験された方は少なくないと思います。以前「生理前になると卵焼きが上手く焼けなくなる」とおっしゃった方もありました。女性の体調は月経周期にも結構影響されるのですが、月経前に出てくるいくつかの症状がとても強くなり、日常の生活や仕事に支障をきたすようになった場合、いくつかの条件をもって、これらの症状が出てくる病状を「月経前症候群(PMS)」と診断することがあります。
月経前症候群(PMS)と診断されるような状況になっておられる方は、月経周期のうち、排卵後から月経までの「黄体期」にプロゲステロンが分泌される、いわゆる生理的なホルモンの変動に伴って症状が出現してくることが知られています。ホルモンバランスの乱れ、と説明されることもありますが、実態として、いわゆるホルモンバランスはきわめて生理的な状態…つまり異常ではありません。ではどうしてこういう症状が出るのか?ということを考えつつ、こうした症状が強く出る方を診療していると、平常時(黄体期以外のタイミング)から、身体にけっこうな負担がかかっていて、わりあい慢性的な無理をしておられる印象があります。
月経前症候群(PMS)の治療は、このホルモンの変動によって大きく左右される体調を安定させることが目標になります。ひとつの柱は「低用量ピル(ルナベルⓇ、ヤーズⓇなど)」や「ブロゲスチン製剤(ジエノゲストなど)」などを用いて、内因性のホルモンの変動をおさえることになりますし、もうひとつの柱は、ご本人の体調を整えて、しっかり元気になっていただくことで、そのホルモン変動に振り回されない体質・体調を作っていただくこと、になります。
また、ピルやホルモン剤が、もろもろの理由で内服できない場合は、上記二本柱のうち、後者にあたる、体質・体調の改善を目標として、漢方薬を用いたり、生活改善をしていただく、ということになります。これらの介入と生活の変化により、症状が軽減することがあります。
わたし(にしむら)は、月経前症候群(PMS)というのは、「いきなりやってくる、とてつもなく理解不能で異常な状態」ではなく、むしろ、普段からの頑張りすぎや、無理が蓄積している方の中で「一時的にエストロゲンの支配が緩むことで、無理ができなくなった、「素」の状態が出てきている状態」なのではないかと考えています。
つまり、女性ホルモン(エストロゲン)が分泌されていることで、ずいぶんと無理ができる、というのが前提にあるのですが(これは更年期も似たような話になります。それまで無理ができるようになっていたのは女性ホルモン(エストロゲン)が分泌されていたから、というところが、更年期になると急に女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減りますので、やはり急に症状が出現してきます)この状態を「当たり前」と思ったりして無理を積み重ね続けると、やはりどこかで破綻します。
月経周期というのは、身体にかかる無理の過剰な蓄積による破綻をさせないために、いったん「緩む」場所を作っている安全弁のようなものなのではないかと思います。
こういうお話をすると、たいていの月経前症候群(PMS)の方が同じような返事をされます。「いやいや。私の頑張りなんて、ほんとうにたいしたことがなくて」とか「私はそんなに無理していないんですけれど」とか。
そういう、頑張りの基準がすごく高いところにある方が本当に多いです。 もうちょっとご自身の頑張りを認めて「無理していたんだね。」って身体をいたわってあげて欲しいのだけれどなぁ…。と、いつも思っています。
月経前症候群(PMS)で悩んでおられる方が、症状を記録・把握するようになるだけでも体調は改善するのですが、加えて、体調を立て直す漢方やホルモン剤を併用することで、月経周期に振り回されずに生活をまわしていくことができるようになる、というのが月経前症候群(PMS)治療の目標になります。
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